大気汚染や環境汚染が原因で呼吸器や脳卒中など健康リスク?
大気汚染や環境汚染が原因となって人体に及ぼす健康上の危険性についての研究が進められています。
その中でも環境汚染が原因で呼吸器への影響や脳卒中など、心血管系の問題で死亡する健康リスクについて追跡した新しい研究があります。
今回の研究報告では、PM2.5汚染に焦点が当てられたものについてのご紹介です。
PM2.5は呼吸器の健康などに影響を与えることが知られていますが、脳卒中などへの影響を探ります。
PM 2.5顆粒の健康への影響
PM2.5は、微小の粒子状の物質です。
直径は2.5ミクロン未満で、人間の髪の毛1本よりも約30分の1もの小さいサイズとも報告されています。
この物質は人間の健康に有害なものとして研究が進められています。
PM2.5はその小さなサイズのために気管支により深く入り込み、呼吸器などに影響を与えることが多く報告されています。
また、これまでは糖尿病との関連も取りざたされてきました。
今回は、脳卒中や関連死への影響についてもお伝えしたいと思います。
PM 2.5と脳卒中や関連死との関連
研究では、汚染された空気中の二酸化窒素(NO2)および窒素酸化物(NOx)の量を調べ、空気1立方メートルあたりマイクログラム(1グラムの100万分の1)の重量(μg/m3)で大気汚染物質の量を測定したそうです。
この研究により、PM2.5が5μg/m3増加するごとに、初めての脳卒中のリスクが24%増加し、致命的な脳卒中のリスクが30%増加したことが示されています。
二酸化窒素や窒素酸化物の5μg/m3の増加はそれぞれ、脳卒中への始めのほんの少しのリスク(それぞれ0.2%および0.1%)と関連していたとのことです。
イタリアのパドヴァ大学心臓・胸部・血管科学科の心臓専門医で、この研究に関与していないフランコ・フォリーノ博士は、次のように語っているようです。
「汚染が健康に及ぼす有害な影響を示した多くの研究にもかかわらず、大気汚染が健康に及ぼす影響は大部分が過小評価されています。」
その後、3,765,630人に対して追跡調査が行われました。
その間、5,967人が脳卒中を起こしたことが報告されています。
さらに、2,985人が脳卒中後の心血管への関連症状を発症し、その後1,020人が死亡したと報告されています。
さらに、人々が住んでいた場所に基づいての土地利用、交通量、人口、地形データに基づいて、各個人の汚染物質への曝露を観察されました。
データによると、研究中に脳卒中を起こした人々は、PM 2.5の平均ばく露が10.03μg/m3であったことが示されています。
なお、脳卒中を患っていない人の場合、ばく露は9.97μg/m3だったとのことです。
上記のデータが偶然となって汚染と脳卒中の数と比例したと考えることもできれば、紐づけて結論に結びつけることもできるのではないでしょうか。
PM 2.5を避ける生活
屋外では、PM 2.5は主に自動車、トラック、バス、電車、建設機械などの化石燃料を使用する車両から来ています。
また、薪、石油、ガソリン、石炭を燃やす、発電所なども要因の一つと言えるかもしれません。
さらに、森林火災や火山などの自然現象がいより、小さなPM2.5は広範囲に分布します。
このため、大気状態が危険な状態に達する日には、運動をはじめとする屋外活動を減らし、マスクの着用や空気清浄機の使用がおすすめされるようです。
特に心血管リスクの高い人は、留意が必要かと思います。
普段の生活においても、運動や良質な食事をし、禁煙したり、自然が多く環境豊かな場所で過ごしたり、デトックスされやすい身体つくりをするなどによって、体を大気汚染から少しでも守る手助けになるとも言われるため、気になる場合は、習慣化してみることがおすすめです。
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引用文献:
Study links air pollution to increased risk of stroke and related death
米国環境保護庁