断続的断食(ファスティング)の健康効果とオートファジー
一定時間、食べ物を摂取しない継続的断食(ファスティング)は健康にどのような影響を与えるのでしょうか?
現代社会において、人は通常、少なくとも1日3回は食事をします。
このような食べ方は、過剰であるとの見方もされています。
長時間にわたって胃に食べ物が入っている状態が続くと、体重が増えるだけでなく病気の入口になる可能性も考えられます。
健康とファスティング
長時間にわたって胃に食べ物が入っている状態が続き、なお体を動かさない座り仕事などが多い場合には、代謝罹患症(インスリン抵抗性、内臓脂肪の過剰な蓄積など)を発症する可能性があります。
そして、体重の増加やメタボリックシンドロームの原因となります。
このような状態を防ぐためには、継続的な断食がお勧めされます。
ここでは、エネルギー摂取量が16~48時間程度ほとんどまたはまったくない状態と通常の食物摂取を繰り返し行う食事パターンも含めて断続的な断食と言い、ほかにも、正常~太りすぎの人による具体的な食事方法には下記のようなパターンが挙げられます。
-週2日または1日おきに、60%のエネルギー制限
-週5日間、750-1100kcal以内のの食事
-時間制限の食事(食物摂取の1日の期間を8h以下に制限する)
これらの食事スタイルにおける研究結果によると、体重減少だけではなく複数の健康指標の改善に対する有効性が示されました。
病気とファスティング
マウスによる研究において、継続的断食は健康に有益な効果をもたらすことがわかりました。
特に、糖尿病、心血管疾患、癌およびアルツハイマー病、パーキンソン病、脳卒中などの神経疾患を含む幅広い年齢関連疾患のプロセスを打ち消し、改善することができるとされています。
継続的な断食が健康を改善し、病気のプロセスを打ち消す細胞および分子のメカニズムは、身体の根本的な機能回復とかかわっています。
それは、ミトコンドリアの健康、DNA修復、そしてオートファジーを強化する細胞ストレス応答シグナル伝達経路の活性化によるものです。
継続的な断食は、一般的な健康の改善や、老化による疾患の予防及び管理のために必要となります。
オートファジーの仕組み
オートファジーは、一言で言うと細胞のリサイクルです。
細胞質小器官、タンパク質などの分解産物のリサイクルにより、オートファジーは細胞の生存と維持に重要な役割を果たしています。
つまり、オートファジーが機能しなくなることにより、多くの疾患を引き起こす可能性が考えられます。
長期的な断食により、オートファジーを活性化することとなり、これが健康効果につながるものと見られています。
まとめ
継続的な断食には賛否両論ある場合もありますが、現在のところ、過剰な食物の摂取は不調を招くとの考え方が一般的です。
食べ物が比較的不足している環境で進化した動物は、飢餓状態にあるときに、身体的にも認知的にも高いレベルで機能することがわかっています。
これは裏を返すと、食べ物が十分すぎるほどに足りている現代社会において、人は身体的にも認知的にも機能が低い状態となっている可能性を示しています。
一定期間食べ物を制限するファスティングの効果は大きく、オートファジーを発動させ、身体を細胞レベルで若返らせる可能性をもたらします。
ファスティングは比較的安全な食事法ではありますが、あまりにも急激な断食は反対に体を壊してしまう可能性もあるため、少しずつ様子を見ながら行うようにしましょう。
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引用文献:
Nutritional Impact on Metabolic Homeostasis and Brain Health
Leaky Gut: Effect of Dietary Fiber and Fats on Microbiome and Intestinal Barrier