食べ物の栄養素で予防とサラサラ
わたしたちの身体は食べたものからできているために、ドロドロの血液からサラサラの血液を目指す場合、一番の近道は食べ物を見直すことと予防のように思います。
食べ物の中でもビタミンミネラルやアミノ酸、炭水化物、タンパク質や脂質などの栄養について考え出すと複雑になり、なかなか理解も実行も難しくなりますが、血液にとっても大きく関係しつつ、わかりやすい進め方は先人から伝わる伝統食にヒントがあるのではないでしょうか。
長い歴史を持つギリシャでは、食事の基本は食品そのものを丸ごといただくことで、食材そのものの中に含まれる栄養素を体内に取り入れることができると考えられていたそうです。
日本でも70代にして体内年齢が30代で、脳内革命の書籍で大ヒットした春山先生が実践される若さの秘訣は、食品そのものが持つ水分を私たちがいただくことの大切さを伝えられていることを考えても、体内の血管をさびにくく若く保つわかりやすい表現と実行の1つとして、生の食物そのものをいただくことの大切がわかります。
食べ物を加熱すること栄養素の副産物:
生の食べ物をそのままいただく時には考える必要もありませんが、加熱したり加工する際によく使用される油にも注意が必要です。
加工しない食べ物では身体に良い油が多く存在し、その最たる例の中に生の魚に多く含まれるDHAやEPAのフィッシュオイル、植物由来でも最近人気になっている亜麻仁油やえごま油にも含まれている共通の身体に良いとされる栄養素のオメガ3脂肪酸ですが、加熱することで良さが失われたりすることが報告されています。
自然な油以外でも大きな問題になっている人工的な油には注意が必要です。
トランス脂肪酸:
人工的添加された油の中で大きな問題に発展したトランス脂肪酸。
脂質の一種で牛などの内蔵で微生物によって生成される牛や乳酸品と、水素を加えた工業由来の人工的な油で、常温で固まりやすい硬化油で日本でもファーストフードやスナック菓子、スイーツやマーガリンなどに含まれる油があります。
摂取する人の健康を顧みずに利益本意の考え方と言えるトランス脂肪酸がよく利用される人気の理由は、安価で便利、何回も加熱を繰り返しても壊れずにサクサク感を保てるために口当たりが良いことなどが挙げられ、作り手の悩みを一手に引き受けてくれる言ってみれば魔法のような油ともいえるかもしれません。
ただし、1980年代には専門によってその工業油が体内での血液のドロドロに大きく拍車をかけ、心筋梗塞や狭心症をはじめとする心臓関連の疾病や、認知症、腸の病気などともトランス脂肪酸が関係していることが報じられることとなりました。
病気と油:
アメリカではその結果、表示規制が行われ、ショートニングや半硬化油をはじめとするわかりにくい表現からトランス脂肪酸という表記となり、日本でもよく知られる大手チェーン店は使用することを控えていくこととなりました。
2013年12月にはアメリカの食品医薬局であるFDAは、人工的に添加されるトランス脂肪酸は食品使用には適さないことと、安全と認められないことを理由に段階的にトランス脂肪酸使用の禁止方針を発表し、同時にその決定が病気の予防と健康維持に貢献しアメリカ国内で一年間に2万件の心臓発作の予防と、7000人の死者を減らすことができると大々的に報じています。
日本での規制:
気になる日本ですが、摂取量がそもそも少ないとの判断から、使用規制や表記についても手はつけられていません。
メーカーは自主的にトランス脂肪酸の使用を減らしたことで、一応解決したことにまとまったといえます。
日本の食事:
血液のサラサラ度またはドロドロ度は健康にも関係しますが、病気予防や健康維持には代わってしまった日本の食事に改善が必要と国内外の多くの専門家は感じているように思います。
政府による家計調査では、過去20年にわたり、一人当たりの野菜や果物の生鮮食品購入も摂取量も減っていること、中食や外食の割合が1週間で平均46.3%に上昇した点、伝統的な和食から楽なファーストフードやパン、麺類等の利用度上昇などを考えると私たちの体内の血液のドロドロからサラサラには大きな壁がいくつも存在していることがわかります。
同時に近年の多くの調査報告ではちょっとした工夫で現在や今後の健康を左右できることも報告されています。
オーストラリア政府が資金を出して長年かけて大掛かりに行った調査では、1日に2個以上果物を食べるたけでも、心の病の代表といわれるうつ病になりにくく、将来のうつ病へのリスクも大きく減ることが報じられており、意識をちょっと変えることで改善の期待が生まれることもわかってきました。
何かと忙しかったり、経済的な負担を考えても、なかなか食事にかける時間やコストには限りがあるのが現実的なところだと思いますが、日本では予防的な規制も少ないこともあり、積極的かつ主体的なセルフメディケーションへの理解と行動が必要といえます。
今後の自分への投資の意味でも、この際、ちょっと立ち止まって考えてみるのも悪くないように思えます。
参考文献:
Associated Press 2013.11.8. Health “Trans Fat”
毎日新聞 2014.1.16 東京版夕刊
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2022年11月8日更新