低炭水化物、高脂肪、高たんぱく質のケトジェニックダイエット療法
ケトジェニックダイエットは、タンパク質や脂肪の自由な摂取を可能にしながら炭水化物を制限する食事療法の一つです。
ケトジェニックダイエットは、急速な体重減少が可能ということから、減量を目的として日本でも一般的に知られてきています。
低炭水化物によりブドウ糖が不足すると、脂肪が燃焼してエネルギー源として使われその時に肝臓でケトン体が作られます。
このケトン体を利用したケトジェニックダイエットは、体重減少以外にも多くの健康効果が期待できるようです。
・ケトジェニックダイエットとてんかん治療
断食療法は、古くから食事療法として、てんかんの治療に取り入れられてきました。
ケトジェニック・ダイエットは、1920年代に断食をアレンジした食事療法として、てんかんの治療法として導入されたものです。
その後、抗てんかん薬が開発されましたが、現在利用可能なてんかんの薬理学的治療は、効果が限られており副作用の危険性もあります。
そこで、1990年以降、ケトン食療法によるてんかんの治療に再び注目が集まってきました。
過去数年間で、副作用を減らし、より多くのてんかん患者が利用できるようにしながら、また治療をより簡単にするために、より柔軟なケトジェニックダイエット療法が開発されています。
・ケトジェニックダイエットとがん治療
がん治療の分野でも、ケトジェニックダイエットを取り入れることの有効性にも注目が集まっています。
標準的な抗癌療法の有効性を高めるために、ケトジェニックダイエットが補完的に取り入れられることがあるようです。
十分な量のタンパク質を含む高脂肪、低炭水化物の食事療法であるケトジェニックダイエットは、癌細胞にも働きかけることが報告されており、この食事療法を補助的な癌療法として有望な候補の1つにもなっているようです。
ただし、同時にがんを患っている場合は、エネルギーも必要で消耗しやすいことからも、いかにエネルギーを摂取するかも考える必要がありそうです。
・アルツハイマー型認知症とケトン食療法
神経変性疾患であるアルツハイマー型認知症の患者数は、高年齢化に伴い世界的にますます増加しています。
病理のメカニズムは完全には解明されていませんが、食事療法に効果が見られそうな可能性が示されています。
ケトジェニックダイエットは、非常に高脂肪、低炭水化物のダイエットであり、絶食のような効果があります。
ケトン体の存在は、老化した脳細胞に神経保護の影響を及ぼします。
このことから、アルツハイマー型認知症のような脳や神経変性疾患の治療法としてもケトン食は関心を集めています。
ケトジェニックダイエットは、炭水化物を厳格に制限する必要があることから、賛否両論があるようです。
行う際には専門家に相談しながら、体調管理のもとで無理なく実施されることがおすすめです。
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