ADHDと子供と自然
ADHDと診断される子供の数は先進国で上昇の一途を辿っていると報じられています。
アメリカではここ数年だけでもその数が増えていることを示すデータが存在することから、その原因や予防解決に向けた研究や調査が進められ、報告される数も年々増えているのか、眼にする機会が増えてきているように思います。
以前に子供のADHDと携帯電話の電磁波との関連性を示す報告をお伝えしましたが、成長時期にある子供が携帯電話をはじめとする他の電子端末を利用しての通話やインターネット接続をした状態でのゲームなどの時間を減らす制限を行うことで通話では7.1%、ゲームで7.5%のADHDにおける症状が軽減されたという報告でした。
不思議なことに世界の名だたるIT企業が集約されているカリフォルニア州では子供の健康を考え、中学までは携帯電話やタブレットをはじめとするインターネット接続に接続可能で持ち運びができるスマート機器といわれる電子端末を使用させないという親も少なくありませんし、時間や使用の制限を設けることを実行しているという家庭も多いように思います。
今回も同じくADHDの子供とのつながりで生活環境に関連した調査報告をお伝えいたします。
生活環境と自然:
これは何もADHDと診断される子供に限って言えることではないように思いますが、生活環境に澄んだ空気や木々、鳥の歌や気持ちよい日光などの自然があるかどうかで人の心境や身体に対しての影響があることがわかっています。
自然で過ごすことは子供のハイパーアクティブや注意の欠如をはじめとするADHDと診断される症状が軽減されることや、ストレス環境や共存能力を高まることで改善されることがアメリカのメリーランドやコロラド州など6カ所における研究で判明したことが報告されています。
子供でハイパーアクティブや注意がなかなか定まらず落ち遣いないといったADHDと診断された6〜10歳の子供たちのデータでは自然の中で過ごすことで落ち着きが高まったり、ストレスの軽減、クラスでの集中能力が高まると報告されました。
またグラウンドで遊ぶよりも木のある場所で遊ぶ方が、リラックスできたり、木が期待されることへの心配からの解放につながったりすることが報告されています。
小学生の子供たちを対象したものだけに限らず、51人の高校生を対象にした調査でも自然の中では黙想やリラックス度合い、集中能力も高まったりすることで、より効率的になったと調査終了後でも教室での状態は続いたことで子供たちのADHDの症状を減らし、鬱症状や心配の代わりにリラックスできたり、施設や建物からのストレス解放によるエネルギー上昇を感じることができると結論付けられたようです。
澄んだ空気、心地よい日光、自然の香りや聞こえてくる鳥の歌、地球からのエネルギーなど自然からの贈り物が子供たちや私たちに与える影響がいかに大きいことかを再認識させてくれる報告ではないでしょうか。
情報源:
Chawla L, Keena K, Pevek I, Stanley E, Green Schoolyards are heavens from stress and resources for resilience in childhood and adolescent.
Health & Place. 2014:28:1-13.
Maas J. Take a hike! Ode. September 2011;22-25