認知症やパーキンソン病の原因に自己免疫疾患も
認知症やパーキンソン病は脳に関りが大きい印象ですが、原因の1つに自己免疫疾患が含まれることが報告されています。
健康や予防への取り組みもはじまっているようです。
Contents
認知症やパーキンソン病に環境汚染も原因に?:
海外の研究報告を観ていると、認知症やパーキンソン病の原因についての調査報告などについて紹介されていることも少なくありません。
例えば、印象に強く残っている報告の1つには、メキシコ市の環境問題とアルツハイマー型認知症の報告があります。
環境が原因で認知症を患う可能性を示唆した内容です。
メキシコ市は90年代に全ての犬において、認知症の早期のような状態になっていることが報告された経緯があります。
また2000年代には、子供の脳を調べた報告で早期のアルツハイマー型認知症に似ているとい報告もあったようです。
環境汚染がひどいことが原因で、認知症やパーキンソン病などに関与している可能性が高いというのが専門家の見方でした。
認知症の原因とも考えられる自己免疫疾患:
認知症やパーキンソン病というと、年齢が高いという印象ですが、自己免疫疾患の一部でもあるという文面が加わると一気に対象者は増えます。
実際に2017年にはじめてコロンビア大学医療センターによって、パーキンソン病の原因に自己免疫疾患が役割を担っているという直接的な初めてとなる証拠が発表されました。
アメリカでは非常に大きな話題となりました。
というのも、アメリカにおける自己免疫疾患と診断される人の数は少なくとも4千万人と言われているからです。
自己免疫疾患とは:
己免疫疾患とは、免疫系統の働きが正常におこなわれなくなり、身体が自らの組織を攻撃する状態のことです。
自己免疫疾患の原因については、確かなことはまだ判明していないといわれます。
ただし、共通する中には、小麦等のグルテンたんぱく質や、乳製品などに消化不良、不耐性やアレルギー反応が出ることが少なくないということのようです。
そのために、アメリカで著名な治療士の多くは自己免疫疾患の治療プログラムの中に、まずはそれらの反応しやすい食べ物を検査したり、取り除く食事を実行することをおすすめする専門家も少なくありません。
自己免疫疾患とパーキンソン病の原因に関連するαシヌクレイン?:
グルテンたんぱく質や乳製品を含む食べ物に入っているカゼインというたんぱく質は、共にアレルギー反応の原因として知られています、
他に自己免疫疾患とパーキンソン病や認知症などの原因として関連性があるたんぱく質があります。
それが、αシヌクレインと呼ばれるたんぱく質です。
αシヌクレインについては、脳疾患の発生と関連しているとされる遺伝子であることが報告されています。
また、パーキンソン病やアルツハイマー型認知症と診断された人の脳内には、他の人々と比較した場合に多く蓄積されているたんぱく質であることも報告されています。
そして、そのたんぱく質のαシヌクレインが、自己免疫疾患に関わるT細胞を活発化させることができることも報告されています。
福祉国家スウェーデンの報告:
福祉国家のイメージが強いスウェーデンで行われた調査報告でも認知症と自己免疫疾患の関りを示したデータが存在するようです。
報告では、788,103人の入院患者を対象にアルツハイマー型認知症と自己免疫疾患の関連性や互換性に対して行われた調査からでした。
その大規模調査の結論として導き出されたのは、自己免疫疾患の症状があることで、アルツハイマー型認知症のリスクが高くなるという結論となった内容です。
日本での今までの原因イメージ?:
今まで、私たちが想像していたパーキンソン病の原因のイメージとして、大きかった1つにアルミニウムが挙げられるのではないでしょうか?
アルミでできた鍋やフライパンなどを使用していると、それらの成分が脳内に蓄積すること原因となっているというものです。
ただし、その内容については、日本神経病理学会が2006年に報告したアルツハイマー病に関わる発表の中では無関係であったことが伝えられています。
予防についての報告からヒント:
認知症やパーキンソン病の原因となることが報告される一方で、予防についてのヒントもあります。
同じく日本神経病理学会からの報告ですが、マウスを用いた実験では、通常マウスが入れられている、かご又はケージよりも大きく、トンネルやおもちゃなどを入れた環境で運動をしながら飼育された場合には、さまざまな数値において健康状態が良かったという内容です。
認知症やパーキンソン病と自己免疫疾患の予防に向けて:
もし、仮に両者の関連性が大きく、自己免疫疾患が原因となっているとした場合、予防の取り組みとして、どうすれば良いのでしょうか?
今回ご紹介してきた調査報告書からすれば、下記のようなことが予防につながると考えられるのかもしれません。
・大気汚染を避け、環境豊かな場所で過ごす時間を増やす、
・グルテンや乳製品などアレルギー反応の原因になる食べ物や食事を制限する、
・狭い部屋の中で長時間過ごすよりも、身体をある程度動かしたり、運動をしたりする、
など。
参考にした情報:
Pubmed/30044040
Geriatr Gerontol Int.(国際老年医学) 2018年9月号;18(9):1350-1355ページ.
doi: 10.1111/ggi.13488.
Dementia and Alzheimer’s disease risks in patients with autoimmune disorders.
Science Daily
2017年7月29日付発行
Parkinson’s is partly an autoimmune disease, study finds
2017年6月21日付コロンビア大学メディカルセンター発表資料に基づく報告より
日本神経病理学会;アルツハイマー病に関わる報告 2006年