関節疾患や骨折と栄養素
厚労省が調査した国民生活基礎調査(2007年版)から介護が必要になる入り口がわかります。
最も多いのは単体では脳卒中で23.3%、そして認知症の14%となっていますが、一歩下がって疾患としてまとめると関節疾患と骨折、転倒がそれぞれ13.2%と9.3%で合計すると22.5%となり、骨や関節、あるいは筋肉が低下することが介護が必要になる入口になっていることがわかります。
またそれらの症状や疾患から認知症になる可能性もあることから十分に考えられます。
逆に考えると筋力の低下を予防し、筋肉や骨と関係する関節疾患、骨粗しょう症を予防することで介護予防になることがわかります。
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骨粗しょう症や関節疾患
日本では予備軍も入れると骨粗しょう症が1710万人、変形性膝関節症が2530万人、脊柱管狭窄が3790万人と発表されています。
日本でも名医として知られる白土英明先生から「腰、ひざ、肩、首痛で医者にかかるべき疾患と自分で治せる症状」というタイトルで平成27年1月29日にお話しいただいた中から、関節疾患や骨折、骨粗しょう症などの予防に向けて何が大切なのかをまとめてみました。
骨の細胞と構成の仕組み
骨折や関節炎、骨粗しょう症についても共通しているのは骨と筋肉ですが、骨が丈夫であることは健康寿命を延ばし、介護予防にもつながります。
骨はその細胞、骨を作る骨芽細胞、骨を溶かす破骨細胞で構成され、骨自体が体内で壊され、作られる作業を繰り返している仕組みがあるそうです。
体内では常に骨骨格全体の2〜3%が再構築を繰り返し、一年をかけて4分の1が入れ替わることが明らかになっているとのことでした。
そう考えると、筋力を低下させない生活を心がけることと、骨を少しでも強く保つことが関節疾患や骨折、骨粗しょう症などの疾病予防をすると共に介護予防にもつながることがわかります。
筋肉は筋肉の質と量、それに関節の可動領域を広げておくことが予防といえますが、丈夫な身体作りは「You are what you eat」という有名な言葉があるように、食べたものからしか私たちの身体は作られないことを考えると日頃の食事とその栄養素がいかに健康を左右するかの大切さがわかります。
予防の食事と栄養素
関節や骨に関わる食事に限らず、全体的な健康維持に言えることですが、丈夫な身体は体型でいうと痩せすぎず、太りすぎないことも筋肉や骨にとっては大切なことといえます。
白土先生の講演の中では栄養素を過不足なくバランス良く摂取することが大切と言われていました。
特に骨折予防や関節疾患を招かないようにするには下記のような栄養素を普段の食事から摂取することが大切なのだそうです。
・カルシウム: 25歳以上は吸収が低くなることで知られます。
・ビタミンD: 特におすすめの栄養素
・ビタミンK: 偏食やダイエットで不足しやすくなる栄養素の1つがビタミンK
・マグネシウム: 土壌や食品に含まれるマグネシウム栄養素が減っていることを考えると、より食事の質が求められます。
・タンパク質: 筋肉との関わりも強い栄養素
これらの栄養素を十分に補おうとすると食事の内容に気をつける必要があります。
心がけの中心としておすすめなのは、炭水化物や加工された食品をある程度制限しながら、食物そのものの形をした食材からの栄養素を補うことが大切といえます。
例えば野菜や果物の形をした状態でいただくことは、より多くの栄養素を補いやすい食事といえます。
食事や栄養素については、また別の機会に掘り下げて考えてみたいと思います。