うつ病や心配症の治療や予防に乳酸菌プロバイオティクスが使われる日がくるかも
うつ病や心配症等の感情や脳と関係する症状の治療や予防に乳酸菌プロバイオティクスが使われる日がくるかもしれません。
調査報告によるとプロバイオティクスが豊富な腸内環境ではマイナスやネガティブな感情に対して有効であることが報告されています。
プロバイオティクスと脳との関係:
プロバイオティクスは腸内で健康的なバクテリアを成長させる役割があるということについては、今までにも多くの報告がなされてきました。
腸内環境においてプロバイオティクスが豊富な場合には体内での消化機能が働きやすく、免疫力も高まりやすい状況になることで知られていますが、最近の報告では腸内の良いバクテリアは脳機能やメンタルヘルスにも大きな影響を与えており、うつ病や心配症、不安症などといった脳に関連する症状についても深い関係があることからも、プロバイオティクスが予防や治療に使われる日がくるかもしれないとも伝えられています。
食べ物に含まれるプロバイオティクス:
プロバイオティクスは私たちの身体の腸内に生息する乳酸菌やイーストで、一定の食べ物や近年ではサプリメントのような補助食品の摂取でも補うことが増えてきています。
食べ物では発酵食品に含まれていて、和食に多い漬け物や熱を加えていない味噌、良質なケフィアやヨーグルトなどの食べ物に乳酸菌プロバイオティクスは含まれていることで知られています。
それらの食べ物に含まれる良いプロバイオティクスは、体内で消化の働きや免疫力を促進したりするだけではなく、不安や心配をはじめとするメンタルヘルスにも良い影響を与えていることを研究で伝えられています。
脳とプロバイオティクスについての調査:
最近報告された一例で私が見つけたのは、複数のプロバイオティクスを利用して40人に行なわれた調査では、4週間にわたり毎日プロバイオティクスを毎日摂取したグループと偽粒であるプラセボを利用したグループに分けて行なわれた調査では、4週間後にプロバイオティクスを摂取していたグループはネガティブな考えや感情が減っているという結果となったことが報告されています。
小さい研究ではあるものの上記の調査を行なったレイデン大学の研究者らはプロバイオティクスを摂取することは腸内や脳内と関係があるプラズマトリプトファンの値を増加させている可能性があり、その結果として心配症や不安症、うつ病などの脳に関わるネガティブな感情を減らしたことも考えられることからも、プロバイオティクスがそれらの予防や治療にも活用できる可能性を示唆しています。
腸と脳の密接な関係:
腸内環境が整っている場合には脳にも良い影響を与えていることが知られています。
腸内が汚れていると良い働きをしてくれている善玉菌は少ない状況にあり、その場合には脳にも影響をするとされています。
近年報告されているように、腸内の炎症によって腸を守っている壁に隙間が開くいわゆる壁腸管漏れでしられるLGS(リーキーガット症候群)の場合には、本来腸内でとどまるはずの物質が血液に流れ出して脳に到達することが様々な症状や疾患を引き起こしている原因になっていることも腸内と脳を結ぶ関連性の大きさを物語っているといえます。
不安症や心配症、うつ病と他の栄養素:
腸内環境に影響を与えているのは何もプロバイオティクスに限ったものではありません。
今回の報告以外でも西オーストラリア大学が153名に行なった調査では乳酸菌やプロバイオティクスではなく、ビタミンB12やビタミンB群の1つである葉酸の値が低い状況でも不安症や心配症などと関係しているという報告もありました。
日頃の食べ物、感情やストレス、体内に取り入れている化学物質なども腸内だけではなく、不安症や心配症、うつ病などに影響を与えていることは間違いなさそうです。
過去に食べてきた食べ物で私たちの肉体も感情も行動にも結びついていることを考えればそれは自然なこととも考えることができます。
参考にした情報:
ハフィントンポスト(英文) 2015年4月17日付 Probiotics may one day be used to treat depression(プロバイオティクスはうつ病の治療に使われる日がくるかもしれない)
メディカルエクスプレス(英文)2014年10月21日付 B-vitamins can help depression according to study(報告によるとビタミンB群はうつ病の助けになる)