オメガ3と6と脳
普段何気なく食べている食べ物は脳の健康を左右します。近年の便利で手軽な食べ物にはオメガ6脂肪酸の方がオメガ3を大きく上回り、6割が油でできているといわれる脳に対して大きな影響を及ぼしていることがわかっています。
1990年代には既にオメガ3と6のバランスが崩れていることについての報告は数多く出ていましたが、その中でも脳や精神的な関わりが大きいとされてる鬱の症状を患う人の脳内を調べると、血液中に含まれるオメガ6の値が飛び抜けて多くDHA値やオメガ3脂肪酸が低い状態にあることが報告されていました。
今でも似た報告は多いように思いますし、オメガ6の値が多くなるにつれて、うつをはじめとする脳への影響が大きくなる傾向にあるようですし、加工食品が代表的な食事に挙げられるアメリカの報告によると、心臓に関わる病気が多い大きな理由の1つにオメガ6を多く含む食べ物を食べる習慣が慢性化していることがしばしば挙げられています。
海外では私たち日本人の勤勉さや大きな経済発展を遂げている理由の1つに間違いなく食べ物にあることが挙げられていることが多く、健康に良い影響を与えている食べ物の例に出てくるのがDHAやEPAのオメガ3脂肪酸を豊富に含む魚介類の食べ物です。
日本で調査された報告の中には、脳や精神的な関連があるとされる自殺を試みる女性の多くには、脳内のオメガ3脂肪酸や魚を食べる量が少ない傾向にあることも伝えられた経緯もあります。
脳の健康におすすめ:
日本で報告される統計の中には、魚やコメ、野菜や果物の一人当たりの年間消費量が減り続けている反面、経済的にあるいは利便性な点からも手が出やすい小麦粉などを使用する加工食品の摂取が増えているようです。
加工食品から良質な脂質であるオメガ3の摂取は補うことができず、逆にオメガ6の摂取量が増えます。
オメガ酸脂肪酸のバランスによって、腸や心臓、脳や精神的な部分も大きく影響を受けていることからも、魚や野菜、果物をはじめとする自然から採取される形の食べ物を増やすように心がけることが健康を維持する上でのおすすめといえます。
Adams P, Lawson, Sanigorski A, Sinclair A. Arachidonic acid to eicosapentaenoic acid ratio in blood correlates positively with clinical symptoms of depression. Lipids. 1996;31:157-161.
McNamara R, Jandacek R, Rider T, et al. Selective deficits in erythrocyte docosahexaenoic acid composition in adult patients with bipolar disorder and major depressive disorder. J Affect Disord. 2010;126:303-311.
Poudel-Tandukar K, Nanri A, Iwasaki M, et al. Long chain n-3 fatty acids intake, fish consumption and suicide in a cohort of Japanese men and women – The Japan Public Health Center-based prospective study. J Affect Disord. 2011;129:282-288.