睡眠やリカバリータイムとアルツハイマー病の関係?
リカバリータイムという言葉が示す通り、私たちの体の機能を回復し整えるためには、睡眠や休息がとても重要です。
特に脳にとって睡眠が大切であることには、近年注目が集まっています。
研究者の間でこの1年間で特に多くの注目を集めた主な分野の1つは、認知症とアルツハイマー病の両方に対する睡眠の影響だそうです。
なぜ睡眠が脳の健康にとってそれほど重要なのか、また、睡眠と認知症リスクとの相関関係について探ります。
なぜ睡眠は脳の健康にとって重要か?
様々な研究によると、睡眠中には、記憶の定着、感情の処理など、脳にとって大切な機能が発動することがわかっています。
さらに深い睡眠中は、脳脊髄液と脳の免疫システムが脳細胞から老廃物を除去し、脳の大掃除が行われるようです。
継続的に深い睡眠をとらないと、アデノシンや血球などの脳の老廃物の除去が不完全になり、その結果慢性的な炎症が発生します。
慢性炎症は、多くの病気や障害の原因の一つとなっているようです。
睡眠には回復作用があるため、脳波一日の活動から回復するために脳と体の速度を低下させ、リカバリータイムを設けているようです。
回復する時間(リカバリータイム)がなければ、脳は日々の生活による消耗から適切に修復することができず、時間が経つにつれて、この修復の欠如が機能不全や病気につながると言われています。
睡眠不足が脳に与える影響
睡眠時無呼吸症候群や不眠症などの睡眠不足が脳に及ぼす影響は、近年、研究者たちにより注目されている分野の1つだそうです。
2023年5月のある研究では、睡眠時無呼吸が脳容積の減少につながり、記憶力に影響を与える可能性があることが判明たそうです。
また、別の研究では、閉塞性睡眠時無呼吸症候群が脳内の白質異常の増加と関連していることが判明し、そのような異常が認知症と脳卒中の両方のリスク増加に関連する可能性があると指摘しました。
さらに、2023年6月の研究では、入眠開始時の不眠が認知症リスクを高める可能性があるとも報告されています。
大規模なメタ分析により、睡眠の質の低下と記憶力の低下との関連性が示されているようです。
睡眠不足は体の自然な回復を妨げるだけでなく、睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害は実際に心臓病や脳卒中のリスクを高める可能性があるそうです。
そして、これらはどちらも認知症のリスクをも高めることがわかっているようです。
深い睡眠と記憶力
ノンレム睡眠と呼ばれている深い睡眠と、人の記憶保持の面で深い睡眠が果たす役割についても調査が行われています。
深い睡眠中には成長ホルモンが放出され、体は回復と浄化を行うようです。
新しい研究では、深い睡眠が脳内のベータアミロイド量が増加した高齢者の記憶喪失を防ぐのに役立つ可能性があると述べています。
そして、今月初めに発表された研究では、深い睡眠中に脳深部刺激を与えると、脳の記憶を作る能力が向上することがわかったようです。
これにより、質の高い睡眠を毎晩とっている高齢者では、記憶力の低下が少ないことがわかっているようです。
また、睡眠の修復的浄化機能は深い睡眠中に最も効果的であり、アルツハイマー病の原因となる蓄積した有毒タンパク質の一部を除去することもわかっているようです。
深い睡眠に役立つ方法とは?
寝る前に温かいシャワーを浴びる、暗くなってから画面を見る時間がないようにする、就寝時間近くに大量の食事をしない、これらすべてが深い睡眠に役立つ可能性があるそうです。
ほかにもより良い睡眠のためのヒントは次の通りです。
-毎日同じ時間に起きて同じ時間に寝るように努める
-就寝の少なくとも1~2時間前には、テレビ、コンピュータ、タブレット、スマートフォンなど、ブルーライトを発する電子機器を避ける
-寝る前にテレビを見る代わりに本を読んでみる
-毎日(寝る前以外に)運動する
-午後はカフェイン入りの飲み物を避ける
-午後は昼寝をしないようにする
-眠いときだけ寝る
-リラックスする時間を作るように努力する
-就寝前に瞑想や深呼吸などでリラックスする
-涼しく、暗く、静かになるように
-ベッドやまくらを清潔に保つ
-起きたら太陽の光を浴びる
睡眠は少ないより多い方が良く、また何らかの理由で十分な睡眠が取れない場合は、できるだけ早く睡眠がとれない機関の{睡眠負債を返済}し、失った睡眠量を増やすよう心掛けることをお勧めします。
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