オレンジなどの柑橘類を食べるとうつ病リスクが20%低下?
過去の研究では、特定の食品や生活習慣の変化がうつ病のリスクを低減する可能性があることがわかっています。
例えば、地中海食がその一例です。
地中海食はオリーブオイル、ナッツ、魚、野菜、果物などを豊富に含む食事スタイルで、これが心身の健康に有益であることが多くの研究で示されています。
新しい研究では、柑橘系果物で代表的なオレンジがうつ病のリスクを下げるのに役立つ可能性のある別の食品であることがわかったようです。
詳しく見ていきます。
うつ病のリスク要因
うつ病には、家族歴、ホルモンの変化、慢性疾患、ストレスなど、多くのリスク要因などがあることが報告されています。
過去の研究では、特定の生活習慣の改善がうつ病の発症リスクを低減させることが示されています。
具体的には、定期的な運動、良質な睡眠、ストレスの管理、バランスの取れた食事、太陽の光に一定時間浴びるなどがその要素として挙げられます。
食事に関しても、健康的な食品を摂取することがうつ病のリスクを減らす可能性があるとする研究結果が以前から報告されています。
柑橘類の摂取と有益な細菌との関連性
最近の研究では、オレンジがうつ病のリスクを軽減する効果があることが示唆されているようです。
この研究では、研究者は看護師健康調査 II に参加した 32,000人以上の中年女性のデータを分析しました。
2003年から2017年にかけて、研究参加者に定期的にアンケートが送られ、食事とうつ病の状態について調査が行われたようです。
その結果、柑橘類の果物の摂取と、「フェアカリバクテリウム・プラウスニッツィー」と呼ばれる細菌を含む腸内微生物叢豊富さとの間に相関関係があることが発見されました。
つまり、柑橘類を摂取することで、「フェアカリバクテリウム・プラウスニッツィー」の増加が期待できるようです。
過去の研究によると、「フェアカリバクテリウム・プラウスニッツィー」は炎症を抑制し、免疫システムをサポートする役割を果たすことが示されており、そのため体にとって有益だとされています。
また、いくつかの動物実験では、「フェアカリバクテリウム・プラウスニッツィー」が過敏性腸疾患(IBD)や肥満、さらには2型糖尿病に対しても効果がある可能性が示唆されています。
研究では、うつ病の被験者のマイクロバイオーム中の「フェアカリバクテリウム・プラウスニッツィー」の減少も発見されたようです。
この細菌が、神経伝達物質であるセロトニンやドーパミンのレベルに影響を与え、これが気分に影響を与えると考えられています。
セロトニンやドーパミンは、気分や感情を調整する重要な役割を持ち、脳内でのバランスが崩れるとうつ病の原因となることがあります。
ハーバード大学医学部の医学講師でマサチューセッツ総合病院の医師であり、この研究の筆頭著者でもあるRaaj Mehta医学博士によると、中サイズのオレンジを1日1個食べると、うつ病を発症するリスクが約20%低下する可能性があると言っても過言ではないようです。
Mehta博士は、「食べたものがあなた自身になる」という言葉が示すように、食事が脳の健康や気分に大きな影響を与えることを裏付ける新たな証拠が得られたと語っているようです。
腸内微生物群と脳の健康の関係
腸内微生物群(マイクロバイオーム)は、免疫系から脳に至るまで体全体に大きな影響を与えることが知られています。
特に、脳機能や精神的健康に関する調整を行う腸内細菌のバランスが崩れると、うつ病やその他の精神神経学的な問題が引き起こされる可能性があります。
この微生物群が、腸内での消化活動にとどまらず、脳の健康にも影響を及ぼすことが明らかになりつつあります。
腸内の細菌が不足していたり過剰であったりすることが、精神的な不調に繋がる要因の一つとされます。
腸内微生物群の影響について、今後はより多くの研究が進められる必要があります。
特に、うつ病の予防や治療において、食事や自然療法がどのように作用するのかを解明することが重要です。
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引用文献:
Eating citrus fruit like oranges tied to 20% lower depression risk