高脂肪食は腸内細菌を破壊し不安を助長する可能性がある?
高脂肪食は、肥満だけではなく不安などの精神疾患とも関連していることが報告されています。
新しい研究では、高脂肪食による肥満が腸内細菌叢と腸-脳軸のシグナル伝達を変化させ、それにより不安を助長する可能性があることが示唆されているようです。
高脂肪食と肥満、不安との関連性、さらに不安を改善させるための食品について探ります。
肥満の人は精神疾患となる可能性が高い?
さまざまな要因の中で、高脂肪食は肥満と不安の両方の原因となる可能性があることが判明しています。
高脂肪食は、腸内細菌叢の構成を変える可能性があるようです。
腸内細菌叢は、肥満に関連する代謝因子に影響を与え、微生物叢-腸-脳軸を通じて不安のような行動に影響を与える可能性があるようです。
高脂肪食、肥満、不安、腸内細菌叢の関係を深く調べるため、ラットに9週間にわたって高脂肪食を与えた場合の影響を調査した研究があります。
この研究では、腸内細菌叢、腸内細菌叢-腸内脳軸、脳内のセロトニンの変化を分析しました。
結果は、高脂肪食による肥満が腸内細菌叢-腸内-セロトニン作動性脳軸に沿ったシグナル伝達の変化と関連し、ラットの不安関連行動の増加につながる可能性があることを示唆しています。
この結果から、高脂肪食を与えられたラットは体重と体脂肪が増えたことが明らかになったそうです。
また、腸内微生物叢の多様性が大幅に低下したこともわかったようです。
高脂肪食を与えられたラットは、腸内細菌叢の異常の指標である、フィルミクテス菌とバクテロイデス菌の比率が高かったそうです。
さらに、高脂肪食群では、ストレスや不安に関連する脳の領域である脳幹でのセロトニンの生成が増加していたそうです。
セロトニンは「幸せの化学物質」と見なされることが多いようですが、特定のセロトニン神経が活性化されると、一時的な恐怖や不安のような行動反応を引き起こす可能性があるようです。
この研究結果から、高脂肪食が、体脂肪と体重の増加だけでなく不安に関連する脳のセロトニンの変化に関連し、腸内微生物叢の構成を変化させることがわかったそうです。
高脂肪食が腸内微生物叢とメンタルヘルスに及ぼす影響
ラッシュ大学健康科学部ラッシュ健康老化研究所の医師科学者で助教授のトーマス・M・ホランド医学博士(理学修士)は、、
「高脂肪食は腸内微生物叢の多様性を低下させる傾向があり、これによって腸内環境のバランスを維持する能力を損なう可能性がある」と指摘したそうです。
また、栄養心理学センターの栄養心理学の資格を持つ栄養神経科学者で健康科学博士候補のティモシー・フリー医学博士によると、
「微生物叢 – 腸内 – セロトニン作動性脳軸は、腸内微生物叢と脳の間の重要なコミュニケーション経路であり、特に気分調節に不可欠な神経伝達物質であるセロトニンに焦点を当てている」と説明しているそうです。
セロトニンは主に腸で生成され、体内のセロトニンの約 95% は消化管に存在します。腸内細菌叢は、セロトニンの前駆体であるトリプトファンの合成を通じて、セロトニンの生成と機能に影響を与える可能性があることがわかっています。
たとえば、腸内細菌叢の乱れは、腸の透過性の増加、全身性炎症、そしてセロトニンシグナル伝達の変化につながる可能性があるかもしれません。
さらにこれが不安、心的外傷後ストレス障害、およびうつ病などの精神衛生状態を引き起こしたり、悪化させたりする可能性があることも、専門家は指摘しています。
腸内細菌叢、腸脳シグナル伝達、不安を改善する食品
健康的な脂肪の摂取を増やし、不健康な脂肪を減らすなど、食習慣を改善することで、腸脳シグナル伝達を改善し、炎症を軽減し、全体的な精神的健康を高めることができる可能性があります。
専門家は、特に以下の摂取を増やすことを推奨しています。
–オメガ3が豊富な食品
脂肪分の多い魚、亜麻仁、チアシード、麻の実、クルミ
-発酵食品
生きた菌が入ったヨーグルト、ケフィア、ザワークラウト、キムチ、味噌、テンペ
–プレバイオティクス食品
ニンニク、玉ねぎ、ネギ、アスパラガス、バナナ、オート麦
-濃い緑色の葉野菜
ほうれん草、ケール、スイスチャード、ルッコラ、コラードグリーン
-ベリー類
ブルーベリー、イチゴ、ラズベリー、ブラックベリー
さらに、専門家は、全体的な健康と消化器の健康にとって水分補給が重要であることを強調し、毎日の水分補給の必要量を満たすことを推奨しているようです。
十分な繊維摂取と適切な水分補給は、腸内細菌叢の健康を促進し、炎症を軽減し、脳全体の健康をサポートし、不安を改善する可能性があることを意識しながら、食事を楽しみたいですね。
関連する記事:
食物繊維が豊富な食事と人間の腸内微生物叢と世界の地域特性
緑茶とカテキンがもつ健康効果いろいろ
最高の抗がん食品栄養素やサプリメントとは?
お問い合わせはこちらから
受付時間 am9:00-pm5:00/土・日・祝日除く