頻繁な片頭痛には脂っこい魚だけでなく炭水化物制限食も有効?
片頭痛は、世界中の人が悩まされている一般的な疾患の一つです。
慢性的な片頭痛に苦しむ人は、サケ、ニシン、イワシ、サバ、マスなどの脂肪の多い魚に含まれるオメガ3脂肪酸EPA(エイコサペンタエン酸)と、DHA(ドコサヘキサエン酸)の摂取量を増やすことが緩和につながるかもしれません。
片頭痛に対する食事の影響に関する研究の数はまだそれほど多くありませんが、片頭痛と食事との関連について探っていきます。
片頭痛の原因
片頭痛の原因を解明するために、これまでも様々な研究が行われてきました。
その結果、ストレスや緊張、疲れ、自律神経の乱れなどによる血管機能不全、炎症促進性、酸化などが片頭痛の痛みの発生に影響を及ぼしている可能性があることが示されています。
片頭痛の治療に関しても様々な研究が行われていますが、中でも近年は、食事との関連への関心が高まっているようです。
食事と頭痛
現在の研究結果によると、ケトジェニックダイエットと修正されたアトキンスダイエットは、神経保護、ミトコンドリア機能やエネルギー代謝の改善などに役割を果たすと考えられています。
-ケトジェニックダイエット
十分な量のタンパク質と、大量の脂肪を摂取し、炭水化物を可能な限り避ける食事療法の一種
-修正アトキンス食
炭水化物の1日の摂取量を抑え、タンパク質と脂肪の摂取量を増やすことで、脂肪がエネルギー源として常に消費され続ける状態に誘導する食事方法
また、低血糖食は、炎症状態の軽減を通じて頭痛や片頭痛の制御に期待できる可能性があると推測できます。
肥満と片頭痛を含む頭痛は、炎症や視床下部機能の不規則などを介して、相互に起因している可能性があることがわかっています。
したがって、上記のようなダイエット方法を利用するなどして減量のための食事戦略を適用すると、頭痛や片頭痛も改善する可能性があります。
頭痛や片頭痛の改善に効果的である可能性のあるもう1つの重要な食事のポイントは、炎症反応、血小板機能、血管緊張の調節にも影響を与えるとされている必須脂肪酸、オメガ6とオメガ3の摂取量のバランスに関連しているようです。
2021年のある研究は、月に平均約16日の頭痛があり、発作がそれぞれ5時間以上続く182人を対象に行われました。
参加者は、次のような食事をとるグループのうちの1つに無作為に振り分けられました。
①魚由来のEPAとDHA(オメガ3脂肪酸)を多く含む食事と、リノール酸(トウモロコシ油、大豆油、一部のナッツ類や種子に含まれるオメガ6脂肪酸)を多く含む食事
②EPAとDHAが高く、リノール酸が低い食事
③リノール酸を多く含み、EPAとDHAを多く含む食事
16週間後の結果では、EPAとDHAを多く含む食事を摂取した人は、オメガ3の摂取量が少ない人に比べて、月あたりの頭痛日数と1日あたりの頭痛時間が30%から40%少なかったそうです。
この研究により、EPAとDHAを多く含む食事は、痛みや炎症を軽減するのに役立つオメガ3の副産物であるオキシリピンの血中濃度を上昇させることができることが報告されたようです。
肥満、高血圧、脂質異常症、インスリン抵抗性、炎症などはすべてメタボリックシンドロームの構成要素であると考えられており、片頭痛患者にも多く見られる疾患である傾向があることがわかっています。
これらを総合すると、頭痛や片頭痛の予防における効果的な方法と考えられる食事法は、肥満患者の減量食、ケトジェニック食や低カロリー食、オメガ6の摂取量を減らしオメガ3脂肪酸の摂取量を増やす方法がおすすめされることがわかりました。
偏頭痛とそれに関連する症状には、このようにさまざまな食事の要素が関連する可能性があります。
片頭痛を軽減すると考えられている食事療法は、頭痛の軽減につながる可能性があるだけでなく、肥満やメタボリックシンドロームの解消にもつながる可能性があることからも、まずは試してみたい方法の一つとも言えそうです。
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引用文献:
Frequent migraines? Eating fatty fish may offer comfort
Association of diet and headache
アトキンスダイエット(Wikipedia)
ケトジェニック・ダイエット(Wikipedia)