虫歯や口臭など口腔衛生におけるプロバイオティクス
口腔内の疾患は、誰でも経験すると言っても過言ではない最も一般的な病気の一つです。
特に虫歯の原因は様々と言われていますが、口腔内細菌叢の構成は、その発症の重要な要素の一つであると考えられています。
プロバイオティクスは、腸内細菌叢を調整し腸内の病原菌の数を減らすため、ヒトの消化管の一部である口腔内の健康効果にも影響することが期待されています。
そのため、口腔内の疾患予防におけるプロバイオティクスの役割についても数多くの研究が行われてきました。
虫歯、カンジダ酵母感染症、歯周病、口臭などの口腔疾患に対する乳酸菌とビフィズス菌のさまざまな効果やを探ります。
はじめに
世界保健機関(WHO)は、全人口の約半数の人が何らかの口腔疾患に罹患していると推定しています。
なかでも虫歯は、いくつもの要因に関連する病気です。
虫歯を引き起こす環境危険因子には、う蝕原性食事、口腔内の健康状態の悪さ、う蝕原性細菌の多さ、歯垢、不十分な唾液の流れ、十分なフッ化物曝露の欠如などの要因があります。
研究により、口腔微生物叢の構成は口腔の健康と密接に関連していることがわかっています。
特に口腔内細菌叢の細菌の1つであるミュータンス菌は、虫歯の根本的な原因の1つとして知られています。
虫歯の原因は様ですが、主な要因はこのような微生物によるものと考えられています。
口腔内の微生物
微生物は体のさまざまな部分に生息しており、その数は人の体の細胞数の約10倍とも言われています。
体内の微生物の住処には、主に、口腔、腸、皮膚、膣の4つと考えられています。
特に、口腔は最大の微生物部位の1つであり、マイクロバイオームは歯、舌、軟口蓋と硬口蓋、歯肉溝、扁桃腺にも蓄えられています。
プロバイオティクスと口腔の健康
プロバイオティクスは、人々の口腔内の微生物叢変化を引き起こす可能性があります。
理論的には、プロバイオティクスは病原体よりも口腔組織への接着力が強く、接着面をめぐって競合する可能性があるのだそうです。
プロバイオティクスは、口腔内細菌叢や病原体と競合し、抗菌成分を生成することで病原菌の付着を防ぎ、口腔の健康を守ると考えられています。
したがって、プロバイオティクス細菌は、う蝕の原因となる細菌や歯周病の増殖を防ぎし、病原体に対する免疫応答を引き起こし、口腔内の口腔組織の破壊と炎症を防ぐ可能性があります。
プロバイオティクスとカンジダ酵母感染症
カンジダ・アルビカンス菌は、口腔内で蔓延している感染性病原体の1つです。
高齢で免疫不全の状態になると、このような酵母菌感染症のリスクが高まりま。
カンジダにはさまざまな種がありますが、プロバイオティクス乳酸菌は、口腔内カンジダに対してさまざまな阻害効果を示すことがわかっているようです。
プロバイオティクスと歯周病
歯周病は、歯茎、骨ソケット、歯根の外層、その他の結合組織で構成される組織の炎症です。
歯周病は歯垢形成から始まります。
プロバイオティクスは、唾液のpHを下げ、歯垢の石灰化に使用される自由電子を使用する抗酸化物質を生成することで、歯垢の形成を防ぎます。
このようにして、プロバイオティクスは歯周病を予防すると考えられています。
プロバイオティクスと口臭
口臭もまた、さまざまな要因による病気であり、その要因の一つは口腔衛生である可能性があります。
口臭は通常、歯間腔、舌の裏側、および慢性炎症性疾患のバイオフィルムに原因があると考えられています。
健康な人の口腔内で優勢となり微生物叢を形成する細菌種の数は、口臭の人では少ないようです。
また、いくつかの研究では、口臭の除去におけるプロバイオティクス株の効果が報告されています。
おわりに
プロバイオティクスとその治療効果は、いくつかの疾患の制御、予防、治療において長年にわたって注目されてきました。
そのため、プロバイオティクス食品を使用したいという人々の欲求は日々高まっています。
食品中のプロバイオティクスが消費されるまでの生存、ならびに不利な環境および胃腸条件下に存在する問題により、プロバイオティクスの副産物および分泌物、特にポストバイオティクスの使用への関心が高まっています。
プロバイオティクスは生存する必要がなく、また、これらの化合物は長期間変化せず、さまざまな食品配合物に容易に含まれるため、ポストバイオティクスは生きたプロバイオティクスに代わる適切な代替品となり得ます。
口腔内のプロバイオティクスの存在は、虫歯、口腔真菌、感染症、歯茎や口蓋の腫れなどの異常を減らすのに大きな効果があることが示されています。
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引用文献:
A comprehensive review of the application of probiotics and postbiotics in oral health