腸内細菌叢は新型コロナやインフルエンザの重症度にも影響?
感染症に気を付けたい時期にお伝えしたい情報があります。
新しい研究によると、腸内細菌が呼吸器ウイルス感染症からの保護に役立つ可能性があることを示しています。
腸内細菌叢が新型コロナウイルス感染症やRSウイルス感染症、インフルエンザなどの重症度にも影響を与える可能性があるかについて探ります。
腸内細菌と免疫
腸内細菌叢は免疫系の発達と調節に大きな影響を与えていることがわかっています。
免疫細胞に対する腸内細菌の影響は研究が進められています。
ただ一般的には、コロナウイルスやインフルエンザウイルスなどの細菌が上皮細胞に付着した場合などに、自然免疫を活性化する産物を産生したりして、自然免疫シグナル伝達を活性化する能力を反映していると考えられています。
特定の腸内細菌が肺を守る?
マウスを使った新しい研究により、特定の腸内細菌が、肺の免疫細胞を呼吸器ウイルスから身を守る中和剤に変えることが発見されたようです。
その結果、肺の免疫細胞により、新型コロナウイルス感染症、RSウイルス感染症、インフルエンザなどの呼吸器疾患を無効化したことが示されたそうです。
現在は、マウスではなくヒトでの臨床試験を計画している段階で、研究は引き続き進められているそうです。
肺の健康と腸の健康の関係?
この研究では、白血球の一種である「マクロファージ」に注目が集まったようです。
マクロファージは、体の組織に存在する免疫システムの一種です。
肺においては、肺胞や肺嚢上に存在する可能性のある、死んだ細胞や体内に生じた変性物質などの小さな破片を吸い取って消化し、きれいな状態にしてくれるようです。
また、感染症が存在する場合に、体の免疫反応を引き起こすのにも役立つことでも知られているようです。
つまり、マイクロファージは肺に接触する可能性のある感染症や病原体をシャットダウンできる可能性があるようです。
このマクロファージは、どのようにして活性化すればよいのでしょうか?
研究によると、腸内微生物叢の構成が呼吸器ウイルス感染症影響を与える可能性があることがわかったようです。
腸内細菌叢に腸内細菌の一種であるセグメント細菌と呼ばれる細菌が含まれるマウスは呼吸器疾患に対する耐性が高いことが判明しました。
そして、さらなる研究で、セグメント細菌が腸内に存在すると、肺のマクロファージが完全に変化するということが発見されたようです。
腸内細菌の保護効果についてはさらなる研究が必要と考えられているようです。
マウスを使用した研究の結果がヒトでも再現できれば、その意味は重要になる可能性があります。
今後の人体での研究により、腸内微生物によって呼吸器ウイルス感染症にかかりやすい人、または抵抗力のある人を特定できるようになるかもしれません。
また、重篤な呼吸器ウイルス感染症になりやすい人のリスクを軽減することにつながる可能性があると考えられているようです。
具体的には、ヒトの腸内細菌叢に特定の細菌を加えることで、特定のウイルスに対する人間の免疫反応が変化するかに注目が集まっているようです。
腸内細菌が喜ぶ食事を心がける
人間の食べるいろいろな食品が腸内マイクロバイオームを変化させる可能性があります。
そのため、一人一人が摂取する食べ物すべてに気を配る必要があるかもしれません。
毎回の食事で、腸に良いとされる食べ物を意識していただくことが、新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスと戦う体づくりのヒントとなりそうです。
腸内細菌が喜ぶ食べ物と言えば、発酵食品、新鮮な野菜や果物などが挙げられます。
それだけでなく、いろいろな食品をバランスよくいただくこともとても大切です。
発酵食品など乳酸菌やビフィズス菌などの発酵菌を豊富に含む腸内細菌が喜ぶ食事を心がけることで、新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスなどの呼吸器感染症だけでなく、様々な不調からも身を守ることにつながりそうですね。
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引用文献:
Gut microbiota may influence may severity of COVID-19, RSV, and flu
Microbiota as a potentially-modifiable factor influencing COVID-19