アルツハイマーや認知症の発症を防ぐカギは十分な深い睡眠?
現在、世界中で認知症を患っている人の数は5,500万人以上にものぼり、世界中で約3秒ごとに誰かが認知症を発症していると推定されています。
睡眠不足は、認知症の重要な危険因子の一つであると考えられています。
十分な深い睡眠と認知症発症のリスクや原因との関係について探ります。
深い睡眠の減少が認知症のリスクを高める?
新しい研究によると、60歳以上の人の深い睡眠が毎年わずか1%減少すると、認知症発症のリスクが27%も増加することが判明したようです。
研究対象に選ばれた参加者たちは、約5年の間隔を置いて、2回の睡眠研究に参加しました。
その結果、2回の研究の間では各参加者の深い睡眠の量が減少しており、加齢によって徐波睡眠が減っているこことが報告されたようです。
徐波睡眠とは、一般的には「脳の眠り」と言われ、いわゆる「ノンレム睡眠」を指します。
ノンレム睡眠は、深くぐっすり眠っている状態で、多少の物音がしたり、軽くゆさぶられても目が覚めることはない状態です。
このような睡眠が減ることが、睡眠不足につながることがわかっています。
また、睡眠不足は、認知症発症の危険因子の一つと考えられています。
かねてより脳の老化の予防には深い睡眠が不可欠であることは明確になっているようですが、さらに、深い睡眠が脳から代謝老廃物を除去し、記憶を定着させるのにも役立つことも報告されています。
また、高血圧などの他の認知症危険因子から脳を保護するのにも役立つこともわかっています。
深い睡眠とは?
ほとんどの成人が約7時間以上の睡眠時間を取っている場合、その睡眠中の主なサイクルは4つあると考えられているようです。
その内訳はノンレム睡眠 (急速眼球運動) 睡眠が3サイクル、レム睡眠が1サイクルとなっているようです。
最初の2つのノンレムサイクルは、体が眠り始めるときに発生します。
3番目のノンレム睡眠サイクルは最も深い睡眠として知られているようですす。
これは、3つのノンレムサイクルの中で最も長いサイクルです。 このとき、体の心拍数と呼吸は遅くなり、脳波はより遅く大きくなります。
このような深い睡眠中、体はエネルギーを補充し、細胞を再生し、組織や骨を成長させ、修復すると言われています。
過去の研究では、深い睡眠が体の免疫システムを強化するのに役立つこともわかっています。
また、記憶、認知機能、および効率的な学習の発達と保存をにも関わるため、脳の健康を維持する上でも重要な役割を果たすことがわかっています。
なぜ深い睡眠が認知症に影響を与えるのか?
深い睡眠は脳の健康を保つのに重要な役割を果たすため、十分な睡眠が取れないと、アルツハイマー病を含む認知症などの脳関連疾患を発症するリスクが高まる可能性があるそうです。
これに関して、次のような研究結果が出ているようです。
-2021年4月に発表された研究では、50代と60代で毎晩6時間以下の睡眠をとっている人は、将来的に認知症を発症するリスクが高いことがわかりました。
-2021年6月に発表された研究では、深い睡眠がアルツハイマー病に関連する有害なタンパク質を脳から除去するのに役立つ可能性があると報告されました。
-2023年5月に発表された研究では、アルツハイマー病発症の主な要因と考えられているベータアミロイドを脳内に大量有する高齢者において、深い睡眠が記憶喪失の予防に役立つ可能性があることが示されました。
より良い睡眠のためのヒント
認知症のリスクを下げるために十分な睡眠をとるためには、普段の生活習慣が大切と考えられています。
例えば次のような行動は、深い睡眠を導くためのヒントとなるかもしれません。
-朝起きたら朝日を浴びる
-就寝時間に向かうにつれて部屋を暗くする
-練る少し前に温かいシャワーやお風呂に入る
-気温の低い寒い部屋で寝る
-午後遅くから夕方にかけてはスクリーンタイムを減らす
-ブルーライトをカットする
-午後以降のカフェインの摂取を控える
睡眠薬などの薬に頼るのではなく、このような生活習慣の改善によって、深い睡眠を導くヒントになるようです。
また、効果的にリズムを作りたい場合には、メラトニンのサプリメントを取り入れることも考えらえても良いかもしれません。
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引用文献:
Not getting enough deep sleep may increase the risk of developing dementia
Wikipedia ノンレム睡眠