健康な腸内微生物叢は高齢者の骨密度とも関連?
腸内環境は人の全体的な健康に影響を与えることで知られていますが、特定の腸内細菌が骨格の健康にも関連していることがわかってきたようです。
腸内マイクロバイオームは、細菌、真菌、ウイルスなど、何兆もの微生物で構成されています。
これまでの研究では、腸内微生物叢の健康状態が、体の骨密度や、骨粗鬆症の改善に結びついていることがわかっているようです。
腸内微生物叢と体の骨密度や骨粗鬆症との関連を探ります。
腸骨軸とは?
腸内環境が骨の健康にも大きな影響を与えることがわかっています。
たとえば、ビタミンCを豊富に含む果物や野菜を食べると、骨を作る細胞が刺激され、骨の細胞が損傷から保護されることにつながります。
また、タンパク質やカルシウムを豊富に含む食品を摂取することも、骨を強く健康に保つのに役立ちます。
さらに近年では、「腸骨軸」と呼ばれる、腸と体の骨との関連性も発見されたようです。
2019年のレビューでは、腸内マイクロバイオームの変化が骨量減少の一因となる可能性があることが報告されています。
そして、プレバイオティクスやプロバイオティクスを豊富に含む食品を摂取することで、骨量減少の予防または回復に役立つ可能性があると指摘しています。
さらに、2022年に発表されたレビューでは、腸内細菌叢が骨粗鬆症の治療や骨折の予防のための新たな治療方法の一つとなる可能性があると述べられています。
骨密度に関係する腸内細菌
たとえば、腸内マイクロバイオーム内のフェカリバクテリウム プラウスニッツィと呼ばれる細菌は、骨代謝の調節を助ける酪酸を生成するのだそうです。
また、プロバイオティクスとプレバイオティオクスを組み合わせることで、骨代謝を良い方向に変化させることができるかどうかについても、現在研究が進められています。
プロバイオティクスとプレバイオティクスによる予防法が確立されれば、益々骨の健康はより身近なものになってくることでしょう。
健康な骨は長生きにつながる?
人間の成人には206~213個もの骨があります。
骨格は主にコラーゲン、タンパク質、カルシウム、その他のミネラルで構成されています。
コラーゲンとカルシウムはどちらも骨を強くし、健康な骨密度をもたらすことで知られています。
骨は実際には、常に変化する一種の生きた組織です。
健康な骨は、次のようなことに役立つことで知られています。
-体の筋肉を保持する
-体を支えて真っすぐに立てるようにする
-移動能力を提供する
-体の重要な器官を保護する
-カルシウムなどのミネラルを貯蔵し、必要なときに体内に放出する。
骨を強く保つのに十分なカルシウムが不足すると、骨がもろくなり、壊れやすくなり、骨粗鬆症と呼ばれる状態になります。 さらに、骨がもろくなると、姿勢不良や腰痛の原因にもなります。
一方で、骨を健康に保つと長生きできる可能性があります。
2021の研究では、アーカンソー州の田舎に住む90歳以上の人は骨粗鬆症や骨折の割合が低く、これが長寿に寄与している可能性があることが判明したそうです。
また、2015年に発表された他の研究では、骨粗鬆症が人の寿命を縮める可能性があることを発見しました。
このようなことから、骨を健康に保つと長生きできる可能性があることがわかります。
まとめ
骨の健康と健康なマイクロバイオームの間には関係があるとの報告があります。
食事の内容やお通じやガスが出るかなどの様子を観ながら、腸内のプロバイオティクスとプレバイオティオクスを組み合わせるなどして腸内環境を整え、骨を強く保つことは、長生きにつながる可能性があります。
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引用文献:
Healthy gut microbiome linked to greater bone density in older adults