パーキンソン病の研究が腸に焦点を当てている理由?
パーキンソン病は現在、世界中で何百万人もの人々に影響を及ぼしていますが、正確な原因は依然として不明となっているようです。
ですが、近年その研究は、腸に注目があつまっているようです。
パーキンソン病において腸の健康が重要なのはなぜでしょうか?
また、腸の健康によってこの病気の何が明らかになるのでしょうか?
腸の健康がパーキンソン病にどのような役割を果たす可能性があるかについて探ります。
パーキンソン病の現在
現在、世界中で何百万人もの人々がパーキンソン病を抱えて暮らしていると言われています。
パーキンソン病は、可動性、平衡感覚、筋肉の制御などに影響を与える神経疾患です。
その症状は、気分の変化から胃腸の問題、記憶力やその他の認知機能の低下など、他の多くの問題と関連しているとみられています。
世界保健機関 (WHO) のデータによると、パーキンソン病の世界的な有病率は過去 25年間で約2倍にまで増加しているそうです。
その多くは高齢者にみられますが、近年ではその年齢にも幅が見られるようです。
パーキンソン病の注目の治療法は腸の健康?
パーキンソン病に関しては、より良い治療法が常に研究され模索されていることで知られています。
そして最近では、腸の健康に焦点を当てていると報告されています。
過去数年にわたり、脳と腸の間に双方向のコミュニケーション経路があること(腸脳軸)が研究され、広く知られ始めています。
腸と脳の軸は、認知症からうつ病に至るまで、脳に影響を与える多くの健康状態に関与していると考えられています。
また、腸と脳の関係は他の病気ではあまり明らかではないかもしれませんが、パーキンソン病ではより明確であり、人によっては便秘などの胃腸症状も関連しているそうです。
パーキンソン病に関するある観点では、未知の病原体が 2 つの経路を介して脳に到達する可能性があり、そのうちの1つは腸に関係していると示唆しています。
この仮説によれば、パーキンソン病は実際には腸で始まり、その後迷走神経を通って他の組織に広がり、脳に向かって広がるという考えが成立しそうです。
パーキンソン病では腸内微生物叢が異なる?
最近の研究で、パーキンソン病患者は腸内細菌叢の異常(善玉菌と悪玉菌の不均衡)を特徴とする明確な腸内微生物叢を持っていることが発見されたそうです。
この研究では、パーキンソン病患者の腸内細菌の約30%が、パーキンソン病でない人と異なることを示唆しました。
腸内細菌がパーキンソン病に何らかの役割を果たしているとしたら、どのようなメカニズムが腸内細菌の神経学的健康への影響を媒介する可能性があるかということを知ることはとても重要です。
パーキンソン病における腸と脳との関連性に関する研究で示唆された仮説では、パーキンソン病で過剰に存在するとみられている細菌が炎症促進性であるため、全身性の炎症が広がる可能性があるというものだそうです。
実際に、炎症状態はパーキンソン病のリスクの上昇と関連していることがわかっています。
たとえば、炎症性腸疾患 (IBD) を患っている人は、炎症性腸疾患を持たない人に比べてパーキンソン病のリスクが22%高いことが示唆されています。
食事を変えるとパーキンソン病の腸内細菌叢と戦うことができる?
腸内細菌がパーキンソン病に関与している可能性がある場合、食事が腸内細菌叢との闘いに役立つかもしれません。
2022年のある研究では、フラボノイド(多くの果物に含まれる天然色素)を多く含む食事がパーキンソン病の死亡リスクの低下に関連していることが示唆されています。
また、2018年の研究では、多くの種類の魚に含まれる「パルブアルブミン」と呼ばれるタンパク質が、脳内でα-シヌクレインが凝集して塊になるのを防ぐことでパーキンソン病の予防に役立つ可能性があると主張しているそうです。
また、砂糖の摂取量の増加に問題があることが研究で示されています。
私たちの腸内微生物叢には個人差があるため、上記のような食事に留意するとともに、研究報告が多いさまざまな種類のプロバイオティクスを試してみることも、パーキンソン病患者の腸内細菌を制御する可能性が高まるのかもしれません。
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引用文献:
In Conversation: Why Parkinson’s research is zooming in on the gut