口腔衛生オーラルケアは妊活とも関連?
女性の社会進出に伴い、妊娠の年齢も上昇しているようです。
妊娠を望む妊活中の女性の中には、食べ物やサプリメントに気を配る方も見えるかもしれません。
ですが、健康な赤ちゃんと出会うためには口腔内の衛生状態もとても大切なようです。
オーラルケアと女性の妊娠との関連について探ります。
Contents
妊活女性とオーラルケア
アメリカの不妊専門家はスウェーデンで開かれた会議において、赤ちゃんを産みたい女性は口腔の健康に気を配るべきだと語っています。
研究によると、女性が妊娠する可能性は、妊娠を試み始めたときからの歯と歯茎の手入れをどれだけ適切に行っているかが大きくかかわる可能性があることがわかったと伝えています。
また、西オーストラリア大学のロジャー・ハート教授は、歯周病が妊娠に及ぼす影響は、肥満の影響とほぼ同程度であるとの認識をお持ちです。
同大学の生殖医学教授であり、西オーストラリア州不妊治療専門医のメディカルディレクターでもあるハート教授は、妊娠を希望する女性は定期的に歯科医院を訪れ、歯を磨くべきだと主張されています。
ハート教授らによる、歯周病の治療が妊娠結果にどのような影響を与えるかの研究では、西オーストラリア州の3,400人以上の妊婦のデータを分析したことを明らかにしています。
その結果、歯周病のある女性は歯周病のない女性よりも妊娠するまでに平均で2か月ほど長くかかったことがわかったと報告しています。
歯周病とは
歯周病は、歯ぐきとその周りの組織が炎症を起こす病気です。
私たちの口の中には、細菌が無数に存在します。
そして、粘液や食べかすにくっついて、歯に粘着性のある「歯垢」を形成します。
ブラッシングとデンタルフロスで丁寧に歯垢を除去することが定期的に行われない場合、歯垢は硬くなり、「歯石」に変わることで知られています。
歯石は、歯垢に比べて除去することがとても大変で、自力では除去できなくなることが報告されています。
また、どんなに気を付けて歯を磨いていても、歯石は知らず知らずのうちにできてしまうことがほとんどのようです。
そのため、虫歯でないとしても歯科に定期的に通って、歯石を適切に除去してもらう必要があります。
歯垢や歯石を除去せずに放置しすぎると、細菌が「歯肉炎」と呼ばれる炎症を引き起こし、歯ぐきが赤く腫れて出血します。
この段階では、毎日のブラッシングとデンタルフロス、歯科に通院することなどにより、口腔の健康を回復することができることがわかっています。
しかし、このような治療を怠ると、最終的に病気は組織や骨に影響を与え、文字通り「歯の周囲の炎症」を意味する「歯周炎」に移行します。
歯周炎では、歯肉が歯から剥がれ、小さなポケットが形成され、そこに感染が生じます。
細菌と歯垢は歯肉の下で増殖し、免疫系の反応を引き起こします。
そして、最終的には細菌や免疫系の活動による毒素により、歯を保持している組織や骨を攻撃し始め、歯が緩んでしまいます。
歯周病のその他の影響
歯周病から生まれた毒素は血流にも入り込み、体の様々な部分に悪影響をもたらします。
その結果、歯周病が、2型糖尿病、心臓病、呼吸器疾患、腎臓病、そして流産や早産などの多くの慢性疾患のリスク増加とも関連していくようです。
最近では、オーラルケアと認知症との関連にも注目が集まっているようです。
約10人に1人が重度の歯周病にかかっていると考えられています。
歯周病を防ぐ最善で最も簡単な方法は、毎日丁寧に歯を磨いてデンタルフロスをすることです。
地道なオーラルケアが、妊活での成功だけでなく様々な疾患から身を守ってくれることにもつながることを忘れずにいたいですね。
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