砂糖が学習と記憶する脳に影響を与える?
「疲れた時や頭を使うときには甘いものがいい」と聞いたことがあるかもしれません。
甘いものは本当に脳に良いのでしょうか?
研究により、脳内の複雑な糖分子が、学習と記憶に関与する「可塑性」に影響を与える可能性があることが報告されているようです。
記憶と砂糖の関連について探ります。
砂糖が脳に与える影響
米国化学会の2023年秋季総会で発表された内容によると、脳内の糖分子が学習や記憶にどのような影響を与える可能性があるかについての研究が進められているようです。
果物、クッキー、ケーキなどに含まれる一般的な糖は、互いに結合して複雑な糖の列を形成します。
これらの複合糖が硫酸基などの他の化学構造に結合すると、グリコサミノグリカンと呼ばれ、細胞増殖、抗凝固、創傷修復などの機能が生まれるようです。
さらにマウスを用いた実験によると、硫酸基などのパターンにより、グリコサミノグリカンの機能が変化する可能性があることが示唆されています。
そしてこの結果は、脳内の特定の部位の神経接続を人工的に操作または強化できる可能性があることを示唆しています。
つまり、砂糖をとることによって脳の神経接続を強化できる可能性があるということのようです。
脳の健康を改善する方法
砂糖によって脳の神経接続を強化できる可能性があることはわかりました。
一方で、運動をすることや何かを学ぶことは脳の健康にとって不可欠です。
特に何か新しいことを学んだりする時に脳は使われますが、脳を使えば使うほどその回復力は高まるのだそうです。
また、やはり食事により健康が改善される可能性もあります。
たとえば、ジャーナル「Neurology」に掲載された2023年3月の研究では、地中海食とマインド食とアルツハイマー病のプラークとアルツハイマー病の数の減少との関連性が報告されています。
マインド食とは、アルツハイマー型認知症を予防するための食事法で、「地中海式食事法」と「DASH食」を組み合わせた食事法です。
地中海式食事法とは、以下の食物を優先して食べる方法です。
-果物と野菜
-全粒粉
-豆類
-オリーブオイルやナッツなどの健康的な脂肪
-適量のシーフード
-少量の乳製品と赤身肉
-少量の赤ワイン
DASH食とは、地中海式食事法と似ていますが、以下の食品を優先して食べる方法です。
-種実類
-牛乳、乳製品
-魚類(青魚)
-豆類
カリフォルニアのパシフィック神経科学研究所のカレン・ミラー博士によると、抗酸化物質は炎症を軽減し、機能も改善することがわかっています。
抗酸化物質を多く含む食品の例は以下の通りです。
-ブルーベリー
-ダークチョコレート
-ピーカンナッツなどのナッツ類
-いちごなどのベリー類
食べ物の他に、ターメリック、クミン、オレガノ、クローブ、シナモンなどのスパイスを食事に加えて、抗酸化物質を増やすこともできそうです。
抗酸化物質を多く含む食事は、脳の健康を助けることに加えて、心臓病、がん、脳卒中、呼吸器疾患、免疫不全、パーキンソン病、その他の炎症性疾患のリスクを軽減する可能性もあるため大変おすすめです。
年齢を重ねるごとに食が細くなってきたり、毎日同じものを食べたりすることが増えてくるかもしれません。
できるだけたくさんの種類の抗酸化物質を含む食事と、時々の砂糖の摂取を行うことも良さそうです。
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引用文献:
Sugars affect brain plasticity, impacting learning and memory
Association of Mediterranean-DASH Intervention for Neurodegenerative Delay and Mediterranean Diets With Alzheimer Disease Pathology