便秘によって認知機能低下のリスクが73%も高まる!?
脳の健康もまた、腸内環境の影響を強く受けるということがわかっています。
新しい研究では、便秘と認知機能低下との関連性が調査されたようです。
その結果、便秘によって認知機能低下のリスクがなんと73%も高くなる可能性があると結論付けられたようです。
便秘と認知機能との関連について探ります。
慢性便秘とアルツハイマー病
世界人口の約16%が便秘を経験しているとされています。
慢性便秘は、排便の回数が3日以上に1回未満の場合を指します。
便秘は、不安やうつ病などのさまざまな健康状態との関連性が指摘されていますが、最近の研究によると、便秘がパーキンソン病などの神経疾患の合併症の一つであり、アルツハイマー病の進行の促進にも関連していることが示されています。
さらに、便秘と認知機能低下との関連を詳しく調査した研究によると、排便の頻度が3日ごとまたはそれ以下であると、認知機能低下の可能性が、約73%も高い可能性があることが発見されたようです。
2012年から2013年の排便頻度に関する情報と、2014年から2017年の認知機能の自己評価について112,753人の男女のデータを調べた研究では、最終的に、3日以上の間隔で排便がある人は、1日1回の排便がある人に比べて、認知機能が著しく低下していることを発見したそうです。
また、他の研究においては、特定の腸内細菌の増加と減少が認知症や認知機能の低下に関連していることも判明したようです。
特定の腸内細菌が認知機能の低下に関連している?
研究結果において、慢性便秘の人は自覚的認知機能低下のリスクが73%高く、食物繊維の消化を助ける「酪酸」を生成する微生物が少なかったとの報告もあります。
さらに、1日に2回以上排便がある人は認知機能低下のリスクがわずかに増加し、マイクロバイオーム内に炎症誘発性の腸内細菌がより多く含まれる傾向があることも発見されたそうです。
研究者らは、排便頻度の減少は認知機能の低下と関連しており、この関連性は腸内微生物叢の変化によって説明できる可能性があると結論付けたようです。
また、最近のほかの研究では、認知症リスクの増加に関連する特定の腸内細菌と、どの腸内細菌が神経保護作用がある可能性があるかがさらに調査されています。
そして、酪酸球菌とルミノコッカスに神経保護効果がある可能性があることが報告されています。
研究者らは、特定の細菌の減少によりいわゆる腸漏れで知られる腸の透過性(リーキーガットの可能性)が高まり、特定の代謝産物の脳への輸送が増加する可能性があり、その結果、認知症の元となるアミロイドベータやタウタンパク質の蓄積が増加する可能性があると示唆したようです。
便秘の治療が脳の健康に役立つ!?
以上の結果から、便秘を治療することによって脳の健康に役立つ可能性も考えられるかもしれないことがわかります。
便秘になりやすい人の条件は、運動や体を動かすことが少ない、女性、うつ病、痔、心臓血管、胃腸、筋骨格系の疾患などが考えられるようです。
また、繊維摂取不足、水分摂取量の少なさ、座りっぱなしのライフスタイルなど、慢性便秘の原因が炎症や精神神経疾患にも関連していることがわかっているようです。
便秘を解消するためのヒントは、果物、野菜、食物繊維、水分、プロバイオティクスの摂取量を増やすこと、より頻繁に運動することを第一に検討されると良いかと思います。
また、睡眠不足やストレス解消なども便秘との関連は強いようです。
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引用文献:
Constipation linked to 73% higher risk of cognitive decline