ALS筋萎縮性側索硬化症の進行遅延には必須脂肪酸を多く含む食事?
サバやイワシなどの魚やクルミなどに含まれることで知られるオメガ3は、ALSを患っている人にとって有益である可能性があるようです。
オメガ3脂肪酸には、さまざまな健康上の利点があることが知られています。
ハーバード大学の研究では、オメガ3脂肪酸を豊富に含む食品を食べるALS患者は、体力の低下が遅く、生存率が伸びる可能性があることが発見されたようです。
また、オメガ6脂肪酸も、ALSの死亡リスクの低下と関連していることも発見されたようです。
ALS筋萎縮性側索硬化症と必須脂肪酸との関連について探ります。
ALSとは?
ALS筋萎縮性側索硬化症は、身体の中枢神経系、主に脳と脊髄の神経細胞に影響を及ぼす病気です。
ALSは、運動に必要な神経細胞に影響を与え、時間の経過とともに脚、腕、顔などの動きをコントロールすることができなくなってしまう可能性のある神経変性疾患です。
最終的には、話すことも食べることもできなくなってしまう可能性もあります。
ALSを発症する人のほとんどは40歳から70歳の間であり、特に男性に多くみられるようです。
ALSの主な症状には、次のようなものがあります。
-手、足または脚の衰弱
-歩行困難
-腕や肩のけいれん
-嚥下困難
-ろれつが回らない話し方
-倦怠感
-認知が曖昧になる
現在、ALSの治療法で決定的な方法は無いようです。
また、ALSの原因も正確にはわかっていないようですが、遺伝や環境要因が影響している可能性があると考えられているようです。
ALSと栄養素
ハーバード大学では、食事とALSの関連性についても繰り返し研究さているようです。
その研究によると、オメガ3脂肪酸、特にα-リノレン酸を多く含む食事がALS発症のリスクを軽減する可能性があることが示されているようです。
2007年の研究では、ALSの運動ニューロン(神経細胞)機能を維持するには、オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の両方のバランスが重要であることがわかりました。
また、2019年に発表された研究では、オメガ3脂肪酸が神経変性疾患の治療薬の製造に使用できる可能性があると報告されています。
さらに、これらの脂肪酸を多く含む食事が、すでにALSと診断されている人の病気の進行を遅らせることにも関連していることがわかったようです。
脂肪酸とは?
オメガ3とオメガ6は、いずれも必須脂肪酸と呼ばれる栄養素です。
必須脂肪酸は、私たちの体が正常に機能するために必要な栄養素です。
必須脂肪酸には、体内での次のような役割があると考えられています。
-ホルモンを作る
-遺伝子機能の調節を助ける
-細胞膜を構築する
-適切な甲状腺と副腎の機能をサポートする
-中枢神経系を健康に保つ
-炎症と免疫反応を調節する
-血液凝固のバランスを整える
-健康な髪と肌をサポートする
以前の研究では、これらの健康的な油が、心血管疾患、加齢黄斑変性、メタボリックシンドローム、自己免疫疾患、アルツハイマー病からの保護に役立つことが示されています。
このように私たちの体にとって大切な必須脂肪酸ですが、体内で生成できないため、食品から摂取する必要があります。
オメガ3脂肪酸が豊富な食品には次のようなものがあります。
-イワシやサーモンなどの油の多い魚
-亜麻仁、大豆など
-卵
-チアシード
-クルミ
-豆腐
また、オメガ6脂肪酸を摂取するための食品は次のとおりです。
-キャノーラ、大豆、トウモロコシ、ベニバナ、ヒマワリなどの油
-大豆
-松の実
-アーモンド、ヘーゼルナッツ、クルミなどのナッツ類。
まとめ
ALS筋萎縮性側索硬化症は、主に脳と脊髄の神経細胞に影響を及ぼす現在治療法の見つかっていない病気です。
必須脂肪酸であるオメガ3とオメガ6を豊富に含む食事は、ALSと関連がある可能性があることが研究によりわかっているようです。
これらの脂肪酸を多く含む食事が、ALS発症のリスクを軽減する可能性だけでなく、すでにALSと診断されている人の病気の進行を遅らせる可能性があることもわかっているようです。
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引用文献:
Diet high in omega-3 fatty acids linked to slower ALS progression in new study