オメガ3脂肪酸は難聴の予防に役立つ?
医学の発展と共に寿命が延びてきているとはいえ、聴力は年齢とともに低下していきます。
日本だけでなく米国でも、難聴の割合は年齢とともに増加しており、75歳以上の人の約50%が生活に支障をきたす難聴を抱えていると報告されています。
今回、新しい研究において、オメガ3脂肪酸の摂取と加齢に伴う難聴の軽減との間に関連性があることが判明したようです。
グエルフ大学とタフツ大学の脂肪酸研究所のでの研究により、オメガ3脂肪酸であるドコサヘキサエン酸(DHA)を良く摂取する中高年者は、難聴を報告する可能性が8~20%低いことが発見されたそうです。
難聴とオメガ3脂肪酸の関連について探ります。
Contents
オメガ3脂肪酸とは?
オメガ3脂肪酸は、体のさまざまな機能に必要な「善玉」脂肪の一種とも言えるほど体にとって必須の脂肪です。
オメガ3脂肪酸には主に次の3つの種類があります。
-α-リノレン酸 (ALA)
-エイコサペンタエン酸 (EPA)
-ドコサヘキサエン酸(DHA)
オメガ3脂肪酸には体内で次のような役割があると考えられています。
-細胞膜を構築して健康に保つ
-ホルモンを作る
-血液凝固と動脈壁の機能維持に関与
-遺伝子機能の調節を助ける
これまでにも、炎症の軽減、目の健康の改善、加齢に伴う神経変性からの保護など、体の健康に対するオメガ3脂肪酸の影響についての多くの研究が行われてきました。
また、以前の研究でも、オメガ3が心血管疾患、関節リウマチ、自己免疫疾患、うつ病、さらには癌などの特定の疾患に役立つ可能性があることが示されています。
このようにそのような意味では、万能ともいえそうなオメガ3脂肪酸ですが、私たちの体内ではオメガ3脂肪酸を自分で作ることができないため、食事やサプリメントを通じて摂取することが必須となります。
オメガ3脂肪酸が豊富な食品には、次のようなものがあります。
-サケ、サバ、アンチョビ、マグロ、イワシなどの脂肪の多い魚
-クルミ
-亜麻仁
-チアシード
-海藻と藻類
-えだまめ、大豆類
-キャノーラ油や大豆などの特定の油
難聴などの健康とオメガ3脂肪酸
DHAと加齢に伴う難聴を調査した大規模研究では、40歳から69歳までの10万人以上の聴力状態と血中DHAレベルが調査されたようです。
この研究の分析の結果、血中DHAレベルが最も高い参加者は、「聴覚に困難がありますか?」という質問に「はい」と答えが割合が16%低いことが発見されたようです。
また全体として、DHA摂取レベルが高い中年~高齢者は、DHAレベルが低い人に比べて、加齢に伴う聴覚障害を報告する可能性が8~20%低いことが報告されています。
また、オメガ3の摂取が多く、その血中レベルが高いことは、難病だけでなく脳、視力、心血管機能へのプラスの影響と関連しているという結論に達したようです。
ほかにも、多くの慢性疾患、早産、全死因死亡のリスクは、オメガ3の摂取量と状態が低いことに関連していることが報告されています。
オメガ3脂肪酸はまた、心臓や胎児の胎内での脳の発達、さらには加齢による認知障害にも影響を与えることがわかっているようです。
まとめ
聴力は年齢とともに低下していきます。
これを少しでも遅らせるためには、オメガ3脂肪酸の摂取が関連していることがわかったようです。
オメガ3脂肪酸は、サケ、サバなどの魚やクルミ、チアシードや大豆製品、ワカメなどの海藻類や枝豆など日本食に多く含まれていることがわかります。
オメガ3脂肪酸はαリノレン酸で必須脂肪酸と言われるほど、体内において、とても重要な働きをしてくれています。
特に現代の食生活のように揚げ物やデザートにたくさんのオメガ6や9の脂質が含まれていますので、オメガ3で上手にバランスを整えておくことがとても大切です。
したがって、これらの摂取を積極的に行うことで、難聴を遅らせたり、軽減したりということが可能となる可能性があります。
大きな騒音を避ける、騒音の多い場所では聴覚保護具を使用するなど、聴覚を守るための方法をとるとともに、オメガ3脂肪酸を多く含む食事を心がけることで、加齢に伴う難聴を軽減することが可能になるかもしれません。
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引用文献:
Can omega-3 fatty acids help protect against hearing loss?