腸内細菌が心臓病や痛風の予防に役立つ可能性?
腸内微生物叢が私たちの健康にどのような影響を与えるかについては、常に研究が進められています。
最近の研究では、炎症の原因となる尿酸を分解できる腸内細菌が発見されたようです。
この尿酸を分解する細菌は、心臓病や痛風から体を守るのに役立つ可能性があると考えられているようです。
腸内細菌と心臓病や通風との関連について探ります。
尿酸を分解できる腸内細菌
これまでの研究で、不健康な腸内微生物叢いわゆる悪玉菌が、2型糖尿病、肥満、喘息、結腸直腸がん、パーキンソン病などさまざまな疾患との関連があることが示されています。
今回、ウィスコンシン大学マディソン校の研究者らによって、炎症の原因となる尿酸を分解する能力があり、心臓病と痛風の両方から身体を守る予防に役立つ可能性がある腸内細菌が特定されたそうです。
この研究は、マウスの糞便移植により行われたそうです。
その結果、腸内でプリンと尿酸を分解するのに必要な細菌に見られる遺伝子群を正確に特定することができたのだそうです。
そして、プリン体を低下させる微生物が腸内の尿酸を分解することにより、マウスの血液中に存在する尿酸が減少したとの報告がされました。
研究の結果は、腸内細菌が尿酸値に関連している可能性があることを示しているようです。
尿酸とは?
尿酸は、体がプリン体を分解するときに生成される老廃物です。
プリン体は、次のような食品や飲料に比較的多く含まれています。
-シーフード
-赤身肉
-ホルモン
-アルコール飲料
血流中の尿酸が多すぎると、すべてが体から排出されず、体内に蓄積される可能性があります。
体内の尿酸の蓄積は高尿酸血症として知られています。
高尿酸血症になると、体内で炎症が引き起こされ、尿酸の結晶が形成されます。
この結晶が腎臓に入ると、腎臓結石を引き起こす可能性があります。
また、体の関節に入ると、炎症性関節炎を引き起こすこともあります。これが、一般的に痛風として知られる疾患です。
また、尿酸が酸化ストレスや炎症を促進する可能性があり、尿酸値が高いと動脈硬化の発生や高血圧や脳卒中などの心血管疾患のリスクが高まる可能性もあります。
痛風の治療や予防のため、または心血管疾患の予防のために尿酸値を下げることは必要不可欠と言えそうです。
そのために腸内の尿酸を分解する腸内細菌が発見されたことは、今後の医療においても大いに役立つのではないでしょうか。
健康な腸内微生物叢を維持するためのヒント
健康な腸内微生物叢を、増やすためには、食事を見直すことが最適な方法と言えます。
食物繊維を豊富に含む食べ物、特にいろいろな種類の野菜を含む多様な食事を摂り、加工食品や砂糖をなるべく避けることを心がけましょう。
また、有益な腸内細菌を増やすためのプロバイオティクスを含む栄養素を摂取することも大切です。
腸内微生物叢の改善に役立つ可能性のある食品には次のようなものが食べ物や食事の例として挙げられます。
-ヨーグルト、味噌、キムチなどの発酵食品
-果物
-野菜
-全粒穀物
-マメ科植物
また、抗生物質は腸内微生物叢のバランスを崩す可能性があるため、不必要な抗生物質の使用には注意することも大切です。
十分な睡眠をとってストレスをためないことも、ぜひ合わせて心がけて見られると良いと思います。
もちろん、プリン体を含む食べ物や飲み物を控えめにしてみることも大切です。
健康的な腸内細菌を育てて、心配な心血管疾患や痛風から身を守りましょう。
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引用文献:
Gut bacteria may help protect against heart disease, gout