ゆっくり始まるアルツハイマー病と腸内細菌との関係
アルツハイマー病の患者数は、年々増え続けているようです。
誰もがアルツハイマー病にはかかりたくないため、年を重ねてからの記憶力などには注意を払うのではないでしょうか。
ですが、アルツハイマー病は、ゆっくり始まると言われています。
アルツハイマー病にかかる可能性のある人は、症状が現れるずっと前に腸内細菌に変化が見られ、特有の腸内細菌叢の状態となるそうです。
アルツハイマー病と腸内細菌との関連や未来の研究について健康と予防の観点から探ってみます。
Contents
腸と脳
ある研究により、アルツハイマー型認知症にかかる可能性のある人は、全段階で特有の腸内細菌叢の状態となることがわかったようです。
この研究結果は「微生物叢の異常が病気の非常に初期に存在し、悪影響を及ぼしている可能性があることを示唆している」と認識されているようです。
腸は脳から遠く離れた場所にありますが、腸-脳軸とも言われているように、そこには深いかかわりがあることがわかっています。
そして、アルツハイマー病の原因も、腸と脳の相互作用によるものだと考えはじめられているようです。
腸と脳の関係は、正確には腸内のミクログリア(常在免疫細胞)が、脳内のグリア細胞(神経細胞を補佐する役割を果たす細胞)の活性化に関連している可能性があると考えられているそうです。
これらのことから、腸内細菌の状態によってアルツハイマー病の早期発見が可能か、または、腸内細菌に変化を加えることでアルツハイマー病の治療が可能かなどの研究が進められているようです。
アルツハイマー病はゆっくりと始まる
アルツハイマー病は、脳のニューロンの表面に、アミロイドタンパク質という物質(ゴミのようなもの)が蓄積することによって発症することがわかっています。
また、このたんぱく質が蓄積し始めるのは、症状を発症するずっと前からだということも判明しているようです。
つまり、アルツハイマー病の初期段階は長期にわたるということで、アミロイドたんぱく質が蓄積し始めてから実際に症状が現れるまでに10~20年かかることもよくあるようです。
そして、研究によりこのアルツハイマー病の初期段階で、腸内細菌叢に特有の変化が見られることがわかっているようです。
アルツハイマー病の未来
腸と脳との関係がアルツハイマー病の予防や治療に役立つ可能性については、今もなお研究が進められているようです。
たとえば、マウスを使用してのアルツハイマー病の研究によると、例えば抗生物質のようなものなどを使用して腸内マイクロバイオームを変化させることにより、アルツハイマー病の病態も変化する可能性があることが示唆されているようです。
こういった研究から、将来、例えば便からの簡単な測定などからアルツハイマー病の早期発見が可能となる可能性に期待が集まっています。
さらに、微生物叢がアルツハイマー病の進行を引き起こしたり、その進行に影響を与えていることが判明すれば、腸内微生物叢を変化させることによりアルツハイマー病の治療が可能となる可能性があるとことにも期待が集まっているようです。
アルツハイマー病に有益な細菌を見つけることにより、アルツハイマー病の予防、または治療に役立つ可能性がある可能性があります。
アルツハイマー病の症状のある人が、病気でない人と異なるマイクロバイオームを持っていることは以前から知られていたようです。
ですが現在の研究では、ある細菌がアルツハイマー病の原因となっていることが判明すれば、微生物叢を調合した経口薬のようなものでアルツハイマー病の治療が可能となるかもしれないというところまで来ているようです。
近い将来、微生物の力によって、増え続けているアルツハイマー病にストップがかかる日がやってくることを願います。
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引用文献:
Gut microbiome tests one day may be able to identify Alzheimer’s early