筋痛性脳脊髄炎や慢性疲労症候群は酪酸でサポート?
人の腸内微生物叢は、炎症性腸疾患、セリアック病、喘息、糖尿病、心臓病、がんなど、さまざまな病気に直接影響を与える可能性があることがわかっています。
新しい研究では、腸内微生物叢が、慢性疲労症候群にも良い影響を与える可能性があることがわかったようです。
慢性疲労症候群は、世界で最大2,400万人が罹患している慢性疾患であり、現在のところ特定の治療法や治療法はみつかっていません。
そのため、これらの疾患と腸内微生物叢との関連性は有益な情報の一つと言えそうです。
慢性疲労症候群と腸内微生物叢との関連について探ります。
筋痛性脳脊髄炎と慢性疲労症候群とは?
慢性疲労症候群は、筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群とも呼ばれ、世界中で最大2,400万人が罹患していると言われている慢性疾患です。
この病気の主な症状は、激しい疲労感です。
この疲労感は休んでも改善しないため、身体的にも精神的にも、活動に支障をきたす可能性があります。
慢性疲労症候群のその他の症状には次のようなものがあります。
-不眠
-思考や記憶が曖昧になる
-脱毛
-体温異常
-めまい
-体重変化
-風邪のような症状
-喉の痛み
-筋肉痛、けいれん
-発疹
-胸痛
慢性疲労症候群には現在のところ特定の治療法や治療法はありません。
ですが、次のような生活習慣を取り入れることにより、症状の改善がみられる可能性も報告されています。
-規則正い睡眠習慣
-マッサージや深呼吸などのリラクゼーション
-ヨガのような軽いエクササイズ
-水療法
-健康的なダイエット
-栄養補助食品(サプリメント)
また、新しい研究により、腸内細菌叢の変化によって症状が改善する可能性があることが示唆されているようです。
慢性疲労症候群と酪酸
ある研究では、過去4年間に慢性疲労症候群と診断された人々のマイクロバイオームと、10年以上前に慢性疲労症候群と診断された人々、さらに健康な人々からのサンプルを比較したそうです。
これらの分析の結果、過去4年間に慢性疲労症候群にかかった患者は酪酸を生成することが知られている微生物の数が少ないなど、マイクロバイオームに特徴があることがわかったようです。
ラクサン塩や酪酸は、腸内微生物叢の健康に重要な役割を果たしています。
さらにこれまでの研究で、酪酸が体内の睡眠促進シグナルの源であるとされるほど、酪酸は健康への直接影響を及ぼすことがわかっているようです。
慢性疲労症候群においては免疫の不規則性がみつかっているため、その免疫系に影響を与える腸のマイクロバイオームが大変重要視されているようです。
また、別の研究では、慢性疲労症候群を持つ患者と、年齢、性別、地理、社会経済的地位などがが一致する、健康な人のマイクロバイオームを調べました。
その結果、参加者の疲労症状の重症度と、主にフェカリバクテリウム プラウスニッツィーなどの特定の種の腸内細菌の間に相関関係があることが発見されました。
フェカリバクテリウム プラウスニッツィーは、体内でな酪酸を生産する場合に活躍する腸内細菌の1つでもあり、抗炎症作用があることが示されています。
フェカリバクテリウム プラウスニッツィーはマイクロバイオームに豊富に存在する重要な細菌であり、酪酸の生成に関連しているようです。
このような細菌を体内で増やすためには、食事を変えることが重要です。
私たちが食べるものは、腸内細菌叢、つまりマイクロバイオームに影響を与えるため、食事を変えることで症状が改善することが考えられるとのことです。
ラクサン塩や酪酸は、食物繊維が含まれる食事を増やすことで、増やすことができることが知られています。
また、加工食品が多くなるにつれて体内の酪酸は減少すると言われています。
食事を工夫することと生活習慣を整えることが慢性疲労症候群の改善の近道のようですが、すぐに改善することは難しいかもしれません。
長期的に続けられる生活リズムや食事プランを考え、少しずつでも実践することが大切と言えそうです。
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引用文献:
What to know about chronic fatigue syndrome
ME/CFS: How the gut microbiome may impact the immune response