多発性硬化症(MS)のセルフチェックの方法と予防のヒント
関節の痛みや手足のうずきなどの症状を伴う自己免疫疾患の一種でもあるとされる多発性硬化症(MS)は、日本でも増えてきているようです。
多発性硬化症の症状をセルフチェックすることはできるのでしょうか?
Contents
多発性硬化症とは?
多発性硬化症の原因ははっきりとしていませんが、中枢神経系に影響を与える自己免疫疾患であると考えられています。
自己免疫疾患は、人の免疫系が、ウイルスなどを攻撃するのと同じように健康な組織までも攻撃してしまう疾患です。
多発性硬化症の症状は、かすみ目やしびれ、手足のうずきなどから始まり筋力低下から視力低下まで多岐にわたります。
多発性硬化症の初期の兆候と症状には、次のようなものがあるようです。
-しびれ、痛み、またはうずき
-かすみ目、見えにくい、浮遊物などの視覚の問題
-歩行またはバランスの問題
-膀胱または腸の失禁
-原因不明の性機能障害
-気分の変化
-物忘れ
多発性硬化症に悩まされる方は年々増えてきていることが報告されています。
全米多発性硬化症協会によると、その数は100万人近くにもなる可能性があると推定されているようです。
多発性硬化症のセルフチェックの方法
多発性硬化症の診断を自分自身で下すことはできませんが、下記のような症状の有無によって、多発性硬化症を疑うことができるかもしれません。
いざ病院に行く段階になったときに、時間の経過に伴う変化を説明することで、より迅速かつ正確な診断を得ることができます。
下記のような症状が起こった場合には念のため症状を記録してみることをお勧めします。
-慢性疲労:疲労は最も一般的な多発性硬化症の症状の 1 つであり、病気の初期に現れることがあります。
-身体感覚の変化: 多発性硬化症は一般的に、しびれ、チクチク感、脱力感、原因不明の痛みなどの身体感覚の変化を引き起こすと言われています。
-視力の問題: かすみ目から、最悪の場合失明にまで及ぶ可能性のある視力の変化は、通常、病気の初期に現れます。
-脳機能の変化:脳にもやがかかったようないわゆるブレインフォグの状態や、抑うつなどにより、日常生活に支障をきたす可能性があります。
-腸と膀胱の機能不全:膀胱、腸、またはその両方の失禁を発症する人もいるようです。
-性機能障害:性的感覚が変化したりすることに気付くことがあります。
上記の症状の中に複数の症状がある場合、多発性硬化症である可能性が高いかもしれません。
たとえば、疲労感はほとんどの人が感じる感覚ですが、疲労に加えて、視覚障害やしびれを同時に発症した場合は、多発性硬化症を疑ったほうが良いかもしれません。
予防のヒント
原因不明の多発性硬化症ですが、危険因子はある程度予測がついているようです。
危険因子を知ることにより、予防のヒントとなるかもしれません。
多発性硬化症の危険因子とされているものは次のような要因になります。
-年齢: ほとんどの人は20歳から40歳の間で診断を受けるようです。
-性別: 男性にくらべて女性は、約2倍の確率で診断を受けるとされています。
-遺伝的要因:遺伝子に受け継がれる可能性があります。ただし、環境要因にも影響されると考えられているようです。
-喫煙: 喫煙者は多発性硬化症を発症する可能性が高いようです。
-感染症: エプスタイン-バーウイルスや単核球症、ヒトヘルペスウイルス6型やマイコプラズマ肺炎などのウイルス疾患を経験すると、発症するリスクが高まる可能性があると考えられているようです。
-ビタミンD欠乏症: 多発性硬化症は、体がビタミンDを生成するのに必要な日光を浴びることが少ない人によく見られるようです。これは、ビタミンDの摂取量が低いと免疫系の働きに影響を与える可能性があることとも関連するのかもしれません。
-ビタミンB12欠乏症: ビタミンB12が不足すると、多発性硬化症などの神経疾患のリスクが高まる可能性があると言われています。ビタミンB12は、レバーやシジミ、あさりなどに多く含まれています。
以前は、犬のジステンパーや、人工甘味料であるアスパルテームの摂取なども発症の原因の1つとして考えられていたようです。
ですが、明確な証明はされておらず、上記の複数の要因が合わさって、症状を発症するものと考えられているようです。
現在のところ多発性硬化症の治療法はないようですが、病気の進行を遅らせたり、再発の数や重症度を少なくするなどの治療法があるようです。
セルフチェックで気になる症状にお気づきの場合は、医師のもとで治療を行われることをおすすめします。
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引用文献:
Multiple sclerosis: What you need to know
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