母親が食べる食事の内容で子供の肥満や将来の健康や疾患が決まる?
親の食事によって、子供が肥満になるかどうかに影響を与える可能性があるようです。
さらに子どもの頃の肥満は、将来、心血管疾患や糖尿病を患う可能性を高めることにも関連するとの報告があります。
中でも注意する必要が高いのが、超加工食品(ジャンクフード)と呼ばれる加工された食品類です。
研究では、小児期~青年期のジャンクフードの母親の摂取量が高いほど、7~18歳の子どもの肥満のリスク増加と関連していたことが示されています。
本人だけでなく、子供の健康にも影響を与える母親の食事の重要性について考えます。
超加工食品とは
一般的に、肥満の予防と治療のためには、栄養価が高く、カロリーの少ないヘルシーな食事をすることが必要と言えます。
例えば飽和脂肪、砂糖、塩分などを控え、果物や野菜、魚、ナッツなどを中心の食事にすることなどです。
超加工食品(ジャンクフード)とは、そのような自然の食べ物とは反対に、加工された食品です。
例えば、大量生産されたパンや焼き菓子、インスタント食品、スナック菓子、デザート類などがあります。
これらの食品は、調理の手間を省き、賞味期限も長めに設定されています。
そのため、ジャンクフードには、家庭料理では使用されない防腐剤、乳化剤、安定剤、甘味料などの食品添加物が多く含まれている傾向があります。
ジャンクフードは、カロリー、砂糖、塩分、飽和脂肪が高い物が多い反面、一般的に好まれる味付けをされている場合が多く、簡単に手に入り、安価でもあるため、気軽に購入して食べる方も多いように思います。
ですが、このような食品の多量摂取は、肥満、糖尿病、心血管疾患のリスク増加と関連していることが研究によって示されています。
母親がジャンクフードを多く食べると
ある研究では、子育て中の母親のジャンクフードの消費と7~18歳の子孫の太りすぎまたは肥満の発症との関連が調査されました。
この研究では、平均4年間で19,958組の母子を追跡したそうです。
その結果、母親が子育て期間にジャンクフードをたくさん摂取すると、小児期から青年期の子どもの肥満のリスク増加と関連していることが明らかになったそうです。
子育て期間中に最も多くのジャンクフードを摂取した母親の子どもは、太りすぎや肥満を発症するリスクがほかの子どもに比べて26%も高かったそうです。
中でも特に、妊娠中に超加工乳製品ベースのデザートや甘い飲み物を消費した母親の子どもは、特に過体重または肥満を発症するリスクが高いことが報告されています。
乳製品から作られたデザートに使用される、乳化剤などの添加物が腸内微生物叢を変化させることがその原因の一つとも言われています。
腸内微生物叢の変化は、母親の慢性的な炎症を引き起こし、さらにそれによって小児肥満を引き起こす可能性があるとも言われています。
ジャンクフードの弊害
レディング大学の栄養学・食品科学の教授であるグンター・クンレ博士は、「ジャンクフードの摂取量が多い人は、食事の質も低い傾向にあり、喫煙する可能性が高く、収入が少なく、学歴が低い」とまで指摘しているようです。
これは少し極端な意見と言えるのかもしれませんが、ジャンクフードを避けて丁寧に食事を作り、いただくことが子供の肥満や将来の疾患を避ける可能性が上がるようであれば、それ以外の選択肢は考えにくいと言えるのではないでしょうか。
もちろん、子育て中のお母さんは忙しいため、時には賞味期限が長く簡単に調理できるジャンクフードや子どもの好きな甘いおやつを選んでしまうかもしれません。
ですが、できる範囲でジャンクフードを避け、栄養価が高く自然で体に良いとされる食品を丁寧に摂取することが、健康的な子どもの未来につながることを忘れないようにしたいですね。
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引用文献:
Ultra-processed foods: Could what a mother eats affect a child’s obesity risk?