ビタミンDとオメガ酸フィッシュオイルで自己免疫疾患を予防する!?
近年、自己免疫疾患に悩まされている方が多くいらっしゃいます。
自己免疫疾患は、免疫系が誤って健康な細胞、組織、または臓器を攻撃するときに発生します。
症状はさまざまですが、痛み、疲労、皮膚状態の変化、その他の慢性的な問題が発生する場合があります。
ハーバード大学の研究では、ビタミンDとフィッシュオイルの栄養素のサプリメントが、50歳以上の成人の自己免疫疾患を予防する可能性があることが報告されているようです。
自己免疫疾患と免疫系
私たちの免疫システムは、ウイルスなど広い範囲の病原体や異物を、自身の細胞や組織と区別しながら感知し、機能しています。
自己免疫疾患は、病原体や異物を排除するための免疫システムが、誤って自分自身の正常な細胞や組織に対してまで攻撃をして症状を起こすことを言います。
たとえばリウマチ性の関節炎、乾癬、バセドウ病、橋本病などの甲状腺疾患、クローン病などが自己免疫疾患の一種です。
自己免疫疾患は女性に多いとされていますが、原因はよくわかっていません。
女性の場合においては、女性ホルモンとの関連性も考えられています。
ハーバード大学の調査
ハーバード大学で行われたランダム化比較試験には、多様な人種の50歳以上の高齢者25,871人が参加しました。
試験は次の4つのグループに分けて行わました。
(1)2,000IUのビタミンDを毎日摂取
(2)1,000ミリグラムの魚油(海洋ベースのオメガ3脂肪酸を含む)を毎日摂取
(3)(1)と(2)の両方を摂取
(4)プラセボ(臨床試験のための偽薬)
試験で使用されたビタミンDの用量は、600IU(71歳以上の人々では800IU)となっており、1日推奨摂取量の2倍以上でした。
5年間の追跡期間中、参加者が自己免疫疾患と診断されたかどうかを報告し、診断は医療記録を通じて確認されました。
プラセボと比較して、ビタミンDの補給は、すべてにわたって自己免疫疾患のリスクが22%低下することが報告されました。
特に、治療の2年後に効果が大きく出たそうです。
フィッシュオイルはビタミンDと比べてそこまで顕著な結果が出ませんでしたが、それでもプラセボと比較して自己免疫診断が確認された参加者少なかったと報告されています。
この結果、ビタミンDとフィッシュオイルを摂取した長期的な治療で自己免疫疾患のリスク低減が強化されたことがわかりました。
ビタミンDとフィッシュオイルの効果
研究者らは、ビタミンDとフィッシュオイルが免疫系を調節したことにより自己免疫疾患を阻止したのではないかと考えています。
ビタミンDとフィッシュオイルの持つ、自己免疫疾患を引き起こす原因の一つである「炎症」を抑制する能力のために予防効果を示した可能性があるとのことです。
ただし、自己免疫疾患を予防するために誰もがビタミンDやフィッシュオイルなどのオメガ酸系魚油サプリメントを摂取することがおすすめされるわけではありません。
自己免疫状態は、多くの場合、女性の成人期の早期に発症します。
ですので、家族に自己免疫疾患の患者を持つ人、または自己免疫疾患の早期徴候があるかもしれないと言われた人は、これらのサプリメントの服用を検討することも一つかもしれません。
もちろん、ビタミンDにもフィッシュオイルにも、自己免疫疾患の抑制以外にも多くの健康的なサポートについての役割が示唆されています。
たとえばビタミンD欠乏症となると、疲労や骨の痛み、気分の変化、筋肉痛、衰弱を感じることがあります。
また、フィッシュオイルに含まれるオメガ3脂肪酸は、炎症を抑える効果があります。
研究結果からもわかるように、サプリメントの効果はすぐには実感されず、数か月から数年単位で経過を見ることで、効果がわかる場合もあります。
そのため、サプリメントの開始を検討される場合は長期的な視点での健康を考えられることをおすすめしたいと思います。
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引用文献:
The truth about nutrient deficiencies
自己免疫疾患(Wikipedia)