睡眠不足と不眠症やうつ病は概日リズムにメラトニン?
十分な栄養、適切な運動とともに、十分な睡眠はすべて健康に不可欠です。
一般的に、成人でも7時間の睡眠が推奨されているようですが、十分な睡眠が取れていない方が多いのが現状です。
睡眠不足や不眠症などは、集中力の低下や疲労の蓄積を招くのはよく知られていることですが、うつ病との関係も深いことも報告されています。
その治療の一つとして、メラトニンも注目されているようです。
メラトニンとは?
メラトニンは、必須アミノ酸でもあるトリプトファンという成分からセロトニンを経て体内で合成されるホルモンの一種です。
メラトニンは睡眠のリズムを調節するホルモンとして知られています。
日中は分泌されずに、夜、暗くなってくると分泌量が増えます。
メラトニンには、睡眠サイクルの調節以外にもが体内で果たす役割がたくさんあります。
例えば抗炎症、抗酸化作用のほか、筋肉や脳とも大きく関わっています。
たとえば、身体の成長や骨の形成、脳の健康にも大きくかかわっています。
また、代謝や免疫機能の調節にも大きくかかわっています。
ハーバード大学医学院によると、夜の青色光がメラトニンを損失させることにより体内時計を狂わせて、乳がんや前立腺がんなど複数のがんや、糖尿病、心臓病、肥満などさまざまな生活習慣病の発症リスクが高くなる可能性があることも報告されています。
概日リズムの乱れとメラトニン
概日(がいじつ)リズムの乱れは、多くの精神疾患と深い関係があります。
概日リズム睡眠障害とは、実際の時間と体内時計のリズムが合わないため、希望の時間帯に睡眠をとることができず、活動に困難をきたす睡眠障害をいいます。
概日リズム睡眠障害は、特に、うつ病の根底と関連があると言われています。
うつ病の原因の一つでもある概日リズムの乱れを調整するための様々な方法が、これまでにも研究されてきました。
現在の抗うつ薬は、概日リズムの乱れの調整という面では期待できるものではないようです。
しかし近年、うつ病で変化することが分かっているホルモンであるメラトニンの受容体に作用し、自然に近い生理的睡眠を誘導することに焦点を当てた新しい抗うつ薬が研究されています。
これは、うつ病患者の抑うつ症状を緩和するものもあるといわれているため、うつ病の治療のための新たな選択肢として期待されています。
よりぐっすり眠る方法
サプリメント以外の方法で 睡眠の問題を解決するためにできることがあります。
最も効果的な方法は、毎日のルーチンや習慣を変えることです。
ハーバード大学付属病院勤務のとバーティッシュ博士は
「人間として、私たちは眠りにつくように進化してきました。したがって、私たちの脳は通常、眠りにつくように再訓練することができます」と言っているようです。
睡眠の問題は多種多様なため、一概には言えませんが、安心感を得るために、次のような方法を試されることをおすすめします。
-朝起きたら、太陽の光を浴びるようにする。
-睡眠を妨げる可能性のある関節炎などの痛みや、不安などの根底にある身体的または精神的健康状態をまずはととのえる。
-定期的な運動など、健康的な生活を送る努力をする。
-毎日同じ時間に起床し、寝るときには寝室を暗く、静かで涼しく保つなど、良い睡眠習慣を実践する。
-午後からはカフェインを避け、就寝時間に近い時間にアルコールを摂取しない。
-夕方には電子機器の電源を切るなどしてメディアから離れる。
-ぬるめのお湯につかる。
-お風呂からあがってからは、照明の明かりを暗めに保つ。
など。
まとめ
睡眠とうつ病などの疾患には深い関係があり、さらには生活習慣病やがんなどの発症リスクとも関係が深いようです。
例えば、大きな悩みや心配事などがあっても、睡眠が十分にとれている状態とそうでない場合には、健康への影響は全く異なります。
熟睡や快眠ができていれば、精神的にも身体としても安定しやすいと言えます。
普段からぐっすり眠るように意識して、朝の時間からできることを進めておくことがおすすめで、良い方法と言えるかと思います。
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引用文献:
Circadian Rhythm and Melatonin in the Treatment of Depression
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