自己免疫疾患のしくみとストレスとの関係
免疫システムは、感染、怪我、病気の合併症から私たちを守るために複雑に設計されています。
ところが免疫系は、自分自身の細胞、組織、器官を攻撃することによって害を及ぼす可能性があります。
これを自己免疫疾患と言います。
自己免疫疾患の病因は多因子性であり、遺伝的、環境的、ホルモン的、免疫学的要因などはすべて、発症において重要な要素であると考えられています。
自己免疫疾患がどのように機能するかを、わかりやすくいうと、下記のような感じなのかもしれません。
免疫細胞はボディーガード？
免疫細胞（T細胞）は、非自己か自己かを迅速かつ適切に識別し、安全から危険を識別する能力を持っています。
面白い表現があります。
免疫細胞は、夜間警備員やボディーガードのようなもので、体内を歩き回って、疑わしいと思われる物を調査するとのことです。
たとえば、T細胞と昼食に食べたほうれん草との会話は、次のようになります。
T細胞: こんにちは。初めて見る顔ですね。
ほうれん草: こんにちは。
T細胞: あなたは私ですか?あなたはこの人体の一部ですか?
ほうれん草: 私は植物です。外から来ました。
T細胞:ああ、あなたは外国人ですね。あなたは危険ですか?
ほうれん草: とんでもない！私はとても安全です。葉酸塩をはじめ、多くの栄養素を持っています。
T細胞: 確認させてください。パスポートをお持ちですか？ああ、なるほど、あなたは本当に安全ですね！それでは、どうぞ仕事を続けてください。
そして、免疫細胞は離れ、他の抗原を探します。
体に有害なもの (ウイルスなど) が発生した場合は次のようになります。
T細胞: こんにちは。あなたは私ですか?
ウイルス:えーと・・・
抗体: よそ者ですね！あなたは危険なので退治します！
免疫システムは、身体を守り、ウイルスを攻撃するために強力な反応を起こします。
自己と非自己を区別し、危険か安全であることを判別することにより、免疫システムは私たちを健康に保ってくれます。
自己と非自己を混同する
免疫系の細胞が自己を非自己と区別する能力を失うと、多くの疾患が発生する可能性があります。
自己免疫に関しては、免疫系は「あなたは私ですか？」という質問に対する答えについて混乱します。
免疫系は、自分自身の細胞の一部を危険な外国人と間違え始めます。
例えば、橋本病の場合、細胞間の会話は次のようになります。
T細胞: こんにちは。あなたは私ですか?
甲状腺細胞:はい、私はあなたの甲状腺です!
T細胞:見たことない顔ですね。危険そうです。
甲状腺細胞:いいえ、私はあなたと同じ体の一部です。私たちは同じ人間に属しています。
T細胞: 私はそうは思わないので退治します!
自己免疫疾患の種類
自己免疫疾患には80種類以上もの種類があると報告されています。
橋本甲状腺炎 – 先進国における甲状腺機能低下症の最も一般的な原因とされています。
バセドウ病 – 自己免疫性甲状腺機能の一種です。
関節リウマチ – 免疫系が関節を攻撃し、炎症や痛み、変形を引き起こします。
炎症性腸疾患 (IBD) – クローン病や潰瘍性大腸炎の消化器系疾患を含みます。
乾癬 – 皮膚や関節炎にプラークを引き起こす可能性がある自己免疫疾患です。
セリアック病 – 小麦のようなグルテン含有穀物の消費により引き起こされる可能性があります。
ほかにも、全身性エリテマトーデス、I型糖尿病、多発性硬化症など多岐にわたります。
自己免疫疾患とストレス
数々の研究において、身体的および心理的ストレスは、自己免疫疾患の発症に関与することが実証されてきました。
多くの研究では、患者の高い割合(最大80%)が疾患発症前に珍しい感情的ストレスを報告していることが判明しました。
残念なことに、ストレスが病気を引き起こすだけでなく、病気自体も患者に大きなストレスを引き起こし、悪循環を作り出していると考えられています。
最近の研究では、自己免疫疾患の病因における心理的ストレスとストレス関連ホルモンの役割の可能性について議論されています。
近年、日本でも多くの方が上記と関連する症状に苦しまれているのではないでしょうか？
便利な世の中になった一方で、自らの健康と向き合う時間も確保することがおすすめといえます。
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