環境汚染物質と糖尿病の関係性?
世界保健機関(WHO)によると、糖尿病の発生率は1980年以来倍増していることが報告されています。
糖尿病は世界中で多くの方々が患っており、70歳未満であっても死に至ることのある病気で知られています。
糖尿病の原因や予防法などを改めて確認しておきたいものです。
近年行われている調査から、環境汚染物質と糖尿病の関係性を示唆する報告が出ていますのでご紹介したいと思います。
糖尿病の原因
遺伝性以外の糖尿病の原因の一つは、過剰な体脂肪であることが報告されています。
体脂肪が多いことは糖尿病の発症に至る最も強い危険因子とみなされているようです。
他の危険因子には、次のような場合が含まれることが報告されています。
-メタボリックシンドローム(腹囲が大きい)
-喫煙
-繊維を含む食材をあまり摂取しない
-砂糖甘味飲料の高摂取
など。
さらに、幼児期の栄養は、人生の後半に糖尿病をの発症するリスクにも影響を与えることがわかっています。
そして意外なことですが、環境リスク要因が糖尿病の発症に潜在的な影響を及ぼすことも報告されているようです。
環境汚染物質とは
環境汚染物質とは、大気汚染やダイオキシンなどのことを指します。
主に空気や皮膚との接触、汚染された飲料水、そして食物を介して環境汚染物質に接触する可能性があります。
多くの環境汚染物質は、時間の経過とともに劣化せず、環境中に蓄積し続けます。
これらの化学物質は、残留性有機汚染物質(POP)に分類されます。
環境汚染物質と糖尿病
糖尿病に罹患している人とそうでない人を含めた成人2,016人を対象に行われた調査があります。
この調査によると、糖尿病の罹患率は残留性有機汚染物質(POP)の血中濃度と強く関連していたとのことです。
肥満の人であっても、POPの血中濃度が低い人は、糖尿病のリスクも高くなかったようです。
これは、肥満ではなくPOPへの暴露が糖尿病リスクの増加の原因であったことを示唆していると考えられそうです。
環境汚染物質は、遺伝子転写に影響を与え、通常はDNA損傷を防ぎ、遺伝子発現を制御するのに役立つクロマチンの組織を変化させてしまいます。
環境汚染物質は、肥満と糖尿病だけでなく、最終的にはがんの原因ともに関連していることが報告されています。
また、ほかにも呼吸器疾患や心血管疾患、不妊症、アレルギー、自己免疫疾患などにも大きな関連があります。
これらを引き起こす内分泌破壊化学物質には、有機農薬や工業薬品、プラスチック、燃料、その他多くの化学物質などの汚染物質が含まれます。
ダイオキシンもまた、体重に関係なく、糖尿病の発症のための危険因子となることが示唆されています。
環境汚染物質の害を最小限にするための成分
環境汚染物質によって引き起こされる害を軽減する可能性がある自然な成分もあるようですので下記にご紹介します。
-N-アセチルシステイン
抗酸化物質で、炎症や酸化的損傷を鎮めるのに役立ちます。
–ケルセチン
環境毒性物質によって引き起こされる可能性のある肝臓および腎臓への酸化的損傷を軽減するのに役立ちます。
-シリマリン
環境汚染物質によって誘導される酸化的損傷から保護するのに役立ちます。
-ベルベリン
環境化合物からの損傷を減らすのに役立つ可能性があります。
-リポ酸
糖尿病の末梢神経障害合併症を軽減し、血管の健康を支える可能性があります。
まとめ
空気、水、食品まで、現代人は環境汚染物質に囲まれて生きています。
環境汚染物質への暴露によって、糖尿病のリスクが必ずしも上がるわけではありませんが、常に環境汚染物質から身を守ることは大切です。
N-アセチルシステイン、ケルセチン、シリマリン、ベルベリン、リポ酸の天然の成分は、抗酸化作用を持っています。
食事やライフスタイルの変化に加えて取り入れてみてはいかがでしょうか。
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