ADHDや自閉症スペクトラム障害の子どものための栄養素
注意欠陥多動性障害(ADHD)、自閉症スペクトラム障害(ASD)などに悩まされる子供や親が増えてきています。
そのほとんどは、子供の不安、不注意、多動性、行動の問題、学習障害、睡眠障害についての症状や悩みとの報告もあります。
適切な栄養素の供給は、子供の集中的な成長と発達の間に特に重要です。
今回は、栄養サポートを通じて落ち着きを作り出すためのヒントとなる栄養素についての報告をご紹介します。
・フランスの海洋松樹皮抽出物
フランスの海洋松樹皮抽出物に関しては、多くの研究が行われています。
それによると、フランスの海洋松樹皮抽出物は、認知機能、注意、精神的なパフォーマンス、ワーキングメモリを改善することにより、行動と学習の課題を持つ人々の脳機能をサポートすることが示されています。
中でも特に、多動性の大幅な減少につながったことが示されています。
これらは、フランス海洋松樹皮に豊富に含まれるポリフェノールの力であることが示されています。
炎症と戦い、DNA損傷から保護する強力な抗酸化物質であるポリフェノール化合物は、精神衛生の分野での価値を証明しています。
そして、脳や行動、気分、うつ病、認知をサポートすることが示されています。
研究では、フランスの海洋松樹皮抽出物を投与された小児は、DNAへの酸化的損傷の減少、全抗酸化状態(TAS)の正規化等が見られました。
・GABA
精神疾患の多くが、多動性、不注意、ストレス、行動不安定性、睡眠障害などを有し、これらは過剰な興奮性神経伝達物質に関連しています。
この場合、心を落ち着かせるハーブ類などの使用は大きな価値があります。
特に、ガンマ-アミノ酪酸 (GABA) は、脳の健康に重要な役割を果たしています。
たとえば、ADHDを持つ子供は、グルタミン酸が正常なレベルよりも高く、GABAに関しては通常のレベルよりも低い傾向があります。
これらの子どもがGABAを摂取することにより、不安を軽減し、リラクゼーションを誘発することが示されています。
瞑想のように覚醒緩和状態に関連付けられているアルファ脳波パターンを増加させることがわかっています。
・L-テアニン
L-テアニンは、緑茶由来のアミノ酸です。
この成分は、弛緩を支持し、α波活性を増加させ、脳内のグルタミン酸受容体の活性化を阻止することによって興奮状態を逆転させ心を落ち着かせることにも役立つものであることが示されています。
L-テアニンは、脳内のセロトニン、ドーパミン、GABAのレベルを有意に増加させることが示されています。さらに、脳由来の神経栄養因子の発現を増加させることがわかっています。
・マグネシウム
ある研究では、ADHDを持つ子供は、そうでない子供よりもミネラルマグネシウムが欠乏する可能性が高いことがわかっています。
そして別のいくつかの試験は、ADHD、不安、ストレス、および他の神経認知闘争を持つ子供と大人の両方にマグネシウムが役立つことを示しています。
ADHDの場合、マグネシウムは、多動性の緩和に特に有用であることが分かっています。
・プロバイオティクス
バランスのとれた腸内環境もまた、ADHDや自閉症スペクトラム障害をはじめとする子供の健康に影響を与える可能性が高いと言えます。
脳と腸はつながっているため、腸の健康が整うことで脳の働きに影響があることは間違いありません。
毎日、腸の健康のための食事を欠かさずにとる方は、少しずつでも症状の緩和に期待できます。
・ホスファチジルコリン
リン脂質は、ADHDや自閉症スペクトラムをはじめとする神経系のサポートを必要とする人にとっても有益です。
この成分により、腸内の粘膜バリアをサポートするだけでなく、脳内の細胞修復を強化することが可能と言えそうです。
まとめ
このように、ADHDや自閉症スペクトラムをはじめ他の神経認知の課題に苦しんでいる方々に、自然の栄養素はとても大きな力を持っています。
抗酸化物質のサポートから、腸の健康まで、栄養サポートを通じて落ち着きを作り出すためにはいくつもの方法があります。
ぜひ一つずつ試していただければと思います。
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引用文献:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22928358/