ストレス解消に乳酸菌プロバイオティクスのラクトバチルス・プランタラム?
ストレスでおなかを壊す、胃が痛くなるといったことを経験したことのある方も多いのではないでしょうか?
実はこの原因は、私たちの脳と腸がとても複雑に絡み合っているために起こっていることが近年の研究でわかってきています。
つまり、脳でストレスを感じ、それが脳から腸に伝わり胃腸の調子が悪くなるのです。
このような脳と腸のつながりを、脳腸軸と言います。
プロバイオティクスの一種である乳酸菌ラクトバチルス・プランタラムで知られる菌は、この腸脳軸に沿って有益な効果を発揮することが報告されています。
・ストレスが腸に影響を与える
ストレスが腸内のマイクロバイオームに影響を与えるメカニズムは、完全には理解されていません。
ですが、実際に影響が与えられていることは間違いありません。
急性ストレスは、脳の交感神経系を活性化します。
この時に、ストレスホルモンの一種とも言われるコルチゾールを放出します。
腸内の微生物は、このストレス応答によって放出されるホルモンおよび神経伝達物質に反応することができるとされています。
・乳酸菌ラクトバチルス・プランタラムDR7を用いた実験
ラクトバチルス・プランタラムDR7は、プロバイオティクス株の要件を満たしながらストレス社会のために作られたプロバイオティクスで知られています。
111人のストレスを抱えた成人を対象にしたある実験では、ラクトバチルス・プランタラムDR7を過半数の人に12週間投与ました。
その結果、ラクトバチルス・プランタラムDR7を摂取したグループの人には明らかなストレスの減少が見られたそうです。
さらには、基本的な注意、感情認知、および準学習などの正常な成人の認知および記憶機能をより改善したそうです。
研究では、ラクトバチルス・プランタラムDR7の投与によって、ドーパミンの経路を安定させつつ、セロトニン経路を増やしたことがわかりました。
・腸の調子を整えることで気分や行動に変化を起こすことができるのか?
ストレスがたまり、胃腸の調子が悪くなった場合には乳酸菌ラクトバチルス・プランタラムが有効であることが導き出されたという報告です。
それでは逆に、腸内細菌のバランスを安定させることで、行動を変えることができるのでしょうか?
その答えは、想定されたとおり、可能ということのようです。
腸内微生物叢は、私たちの主要な神経伝達物質の多くを調節する方法を持っていることが報告されています。
研究の結果、ラクトバチルス・プランタラムはホルモンや神経伝達物質に応答するだけでなく、私たちの行動にも影響を与えることができることが明らかになりました。
例えば腸内環境を正常にすることで、気分を穏やかにするセロトニンを生産することができることがわかっています。
これにより、気持が穏やかになり、結果的にスムーズな行動につながります。
・まとめ
ストレスで胃が痛んだ場合、通常であれば胃薬などを飲んで安静にするという方法をとられる方もたくさんいらっしゃるかもしれません。
ですがストレスを感じたときに最初にするべきなのは、腸内環境を整えることかもしれませんし、実際に近年はそのように報告されつつあります。
特に、乳酸菌ラクトバチルス・プランタラムを摂取することで、その効果には大いに期待できそうです。
ラクトバチルス・プランタラムを含む食事は、キムチやぬか漬けなどの古くからある漬物です。
漬物を単なる箸休めに食べるのではなく、意味を持って食べることが良いかもしれません。
ただし、塩分の摂りすぎにはご注意ください。
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ラクトバチルスについての説明
引用した文献:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30882244/
https://ichgcp.net/ja/clinical-trials-registry/NCT03370458