炎症と免疫機能を調節するメラトニン
メラトニンは、必須アミノ酸であるトリプトファンという成分からセロトニンを経て体内合成されるホルモンの一種です。
メラトニンは睡眠のリズムを調節するホルモンとして広く知られ、日中は減少していますが夜、暗くなってくると分泌量が増えます。
メラトニンが体内で果たす役割は睡眠サイクルの調節以外にもたくさんあります。
例えば身体の成長や骨の形成にも役立ちます。
そのほか、脳の健康、代謝、そして免疫機能の調節にも大きく関わっています。
メラトニンについて報告されている文献から健康のヒントを探ります。
・メラトニンと免疫応答
免疫力を高めるためには、睡眠が必ず必要です。
研究によると睡眠が免疫記憶を促進するためです。
免疫記憶とは、体が以前に遭遇した抗原を特異的に認識し、それに対応する免疫応答を開始する能力のことです。
感染症予防のワクチンとも大きく関わります。
睡眠またはメラトニンの投与により、この免疫応答が速やかに働きやすくなるのです。
動物実験においては、メラトニンの補給が睡眠不足による炎症反応を弱めるのに役立ち、肺の免疫細胞浸潤と組織損傷を減らすことが示されています。
・メラトニンと炎症
メラトニンには、抗炎症効果があることが多くの研究で示されています。
ある研究結果では、メラトニンが炎症性の呼吸器疾患の治療法の一つとして肯定的な結果と関連していることが示されました。
特に気管支喘息の患者で入院を必要とするほど重症化している場合は、メラトニンのレベルが低下し、酸化ストレスが増加することが示されています。
・メラトニンと感染症
いくつかの動物モデルにおいて、メラトニンによる感染症の治療により、体内のウイルス量を減少させることが報告されています。
特に動物におけるインフルエンザの治療では、生存率が大幅に増加することがわかっています。
インフルエンザとcovid-19感染に重点を置いて、ウイルス感染におけるメラトニン作動性経路の役割を調査した結果によりますと、全身のメラトニン作動性経路の調節が、ウイルスの制御を支えるという働きが確認されているとのことでした。
つまり、メラトニンを分泌させるためのセロトニンの分泌を整えることにより感染症から身を守ることができる可能性があるようです。
まとめ
メラトニンの分泌または摂取により、体内の免疫力を強化して、炎症や感染症から身を守ることができることがわかっています。
メラトニンは、これ以外にも口腔の健康からがん予防にまで多くの役割を持っているなどの文献も報告されているようです。
この時期に免疫機能を強化することに関心のある方も多いと思います。
一言で免疫力の強化と言っても、そこには色々な方法が考えられそうです。
たとえば乳酸菌のラクトバチルス菌などによって腸内環境を整えることもその一つです。
私たちの免疫を左右するのは、腸内からが7割以上とも言われる上、腸内の働きとホルモンは深くつながっています。
どの方法が自分に合うか検討し、続けられる方法を試していただくことをおすすめします。
参照文献:
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%8D%E7%96%AB%E8%A8%98%E6%86%B6
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32314850/
メラトニン成分についての説明
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