炎症を抑えてうつ病予防や改善におすすめの方法
私たちの体には、たびたび炎症が起こります。
炎症は、免疫系の細胞が外部から入ってきた感染症などと戦い、組織を修復するのに役立ちます。
ですが、炎症が少なすぎると感染症や病気が悪化し、炎症が多すぎると痛みや損傷、免疫機能障害が起こるといったように、バランスが肝心です。
炎症が多すぎることによって、うつ病を引き起こす可能性もあるようです。
今年の夏に発表された研究によると、炎症とうつ病の関連性が確認されています。
特に、食事と喫煙の習慣は、遺伝学よりもうつ病関連の炎症と関係があることが発見されました。
炎症を鎮め、メンタルヘルスをサポートするためには具体的にどのような方法があるでしょうか。
1.禁煙する
タバコを吸うことは健康的でないことは周知の事実ですが、特に炎症の主な原因であることはまだあまり知られていないかもしれません。
喫煙は、肺や気道だけでなく、口、消化器系、そして脳にまで炎症を引き起こすことが報告されています。
有毒な化学物質への曝露があるのですから当然とも言えそうですが、喫煙は、人間のいろいろな病気の最大の原因です。
そして最近の研究によると、喫煙に関連する炎症とうつ病との因果関係が明らかになっています。
また、別の研究では喫煙がうつ病だけでなく統合失調症の危険因子であることがわかっています。
このように、喫煙はメンタルヘルスに害を及ぼす可能性があります。
もちろん、電子タバコの類でも同様です。
2.健康的な体重の維持
最近の研究データをより詳細に検討した結果、身体の炎症とBMI(太りすぎまたは肥満を示す値)とは強いかかわりがあることがわかりました。
つまり、太りすぎや肥満の人は慢性の炎症を全身に抱えている状態で生活していることがわかります。
また、甘い食べ物を食べるなどの体重増加を引き起こす習慣は炎症をも引き起こす場合があります。
減量が低カロリーの食事をしたこと、運動したこと、または減量手術を受けたことの研究が体重減少が炎症マーカーの低下を引き起こしたことを発見したと報告しています。
3.禁酒する
多くの研究により、アルコール消費とうつ病は密接に関連していることが確認されています。
アルコール消費はうつ病を引き起こし、うつ病は飲酒を促進することは、すべての年齢層のデータと一致しています。
慢性的なアルコール摂取は腸透過性を高め、リーキーガットを引き起こすことにより腸内細菌叢の組成を変化させます。
これにより炎症はますます進み、うつ病との関連性も大きくなります。
4.パンをはじめとした小麦製品を断つ
ライ麦、大麦、小麦、スペルト小麦に含まれるタンパク質であるグルテンは、リーキーガットを引き起こし、多くの人に炎症を引き起こすことで有名です。
「グルテン過敏症」聞くと多くの場合は消化器系の症状かと思われますが、実は症状としては、脳の霧、倦怠感、関節痛、皮膚の問題、うつ病などの症状との関わり合いが大きいとされています。
グルテンを避けるグルテンフリーの食事がうつ病の症状を大幅に改善することがわかっています。
5.砂糖と精製炭水化物を減らす
甘い食べ物や飲み物、炭酸飲料が酸化ストレスと炎症を引き起こすということもわかっています。
多くの研究が糖尿病とうつ病の関係を明らかにしています。
6.良い睡眠をとる
穏やかな精神を保つためには、毎晩7~9時間の中断のない睡眠を必要とします。
睡眠不足は、パフォーマンスと運動能力の低下、うつ病、燃え尽き症候群、免疫力の低下、体重増加などと関連しています。
スマートフォン、コンピューター、その他の光る画面を就寝時刻の少なくとも1時間前に片付けましょう。
私たち日本人の場合、お風呂に入って寝るという場合は、お風呂からあがってからは画面を見ないように習慣付けておくと便利です。
メラトニン、マグネシウム、ホノキオールなどのサプリメントを必要に応じて取り入れることも良いかもしれません。
7.体を動かす
穏やかな生活のためには、エクササイズなどをして体を動かす工夫も必要です。
特に、運動には長期的な抗炎症効果があることが示されています。
まとめ
うつ病は心の風邪と言われますが、通常の風邪と同様に生活の改善により自分でもある程度は症状を抑えることが可能となります。
そのためにはまず炎症を抑えることが最も必要です。
禁煙、禁酒、ダイエット、エクササイズ、グルテンフリー、良質な睡眠と運動など、一見当たり前のことではありますが炎症を鎮めるキーワードはたくさんあります。
穏やかな精神を保つために、一つ一つ実践していくことが大切と言えそうです。