腸や肝臓の健康と肝疾患の関係性
腸の働きをよくすることは全身の健康につながります。
病気にかかりにくい体をつくるのに、免疫力の70%は腸内からともいわれています。
今回は、特に沈黙の臓器とも称される肝臓と、腸との関係について調べてみました。
・肝臓の役割
肝臓は私たちの体内で最大の内臓のであり、体内維持に必須の機能を多く備えています。
その働きは、判明しているだけで500種類以上もあるとされています。
中でも、代謝、排出、胎児の造血、解毒、体液の維持などにおいて重要な役割を担っています。
肝臓は大きく、一部に損傷があっても症状に現れにくいようです。このため、自覚症状の少なさから、「沈黙の臓器」とも呼ばれています。
・肝臓に流れる血液
肝臓は、肝動脈と門脈という2つの供給源から血液を供給されます。
このうち肝動脈は、酸素が豊富な血液を全身から肝臓に送ります。
一方、門脈は、脾臓と胃腸管から排出されるた血液を肝臓に送ります。
門脈からの血液(肝臓の血液供給の70~75%を占める)は、
栄養素だけでなく、バクテリア製品、毒素、腸の代謝物も豊富に含んでいます。
肝臓は、腸の「壁」の一次障壁を越えてこっそりと侵入した可能性のある有害な病原体やその他の微生物製品から体を保護します。
これは体の健康に役立ちますが、時間の経過とともに肝臓に負担をかけます。
・リーキーガットと肝臓の関連
このように、肝臓は腸の内壁を通過したものを最初に受け入れる働きを持っています。
そのため、腸内環境が直接肝臓に影響を与える可能性があります。
腸のバリアが損なわれて穴が開く状態のことをリーキーガットと言います。
このリーキーガットにより、有害な物質が腸壁のを通過できるため、肝臓が直接毒素などに接触してしまうことにつながります。
この現象は「代謝性内毒素血症」として知られています。
腸から血流にのって肝臓に流れるほんの少しの菌でさえ、糖尿病の原因となる炎症とインスリン抵抗性を誘発する可能性があることもわかっています。
また、悪化すると、細胞の炎症と損傷を引き起こします。
このようにして、リーキーガットから肝疾患を引き起こす可能性があります。
・リーキーガットを防ぐ方法
リーキーガットから肝疾患の場合の主な原因は、微生物性腸内毒素症や、腸内細菌、ウイルス、真菌、その他の微生物のバランスが崩れることです。
また、小腸細菌異常増殖や、ヘリコバクターピロリ菌の感染症の患者でも、マイクロバイオームの変化によるリーキーガットおよび肝疾患が見られています。
さらに腸内のカンジダ・アルビカンスやサッカロミセス・セレビシエのようなアルコール産生酵母の存在も、脂肪肝疾患と関連していることがわかっています。
腸内環境を整えるためには、微生物叢を構築もしくは再構築することが必要です。
言うまでもないことですが、腸内環境は食べ物からの影響が大きく、プロバイオティクス、プレバイオティクス、およびシンバイオティクス(プレバイオティクスとプロバイオティクスの組み合わせ)がとても大切です。
また、近年では、糞便微生物叢移植の治癒効果に関する研究もますます増えています。
実際、糞便微生物叢移植はマイクロバイオームを大幅に変化させ、健康状態に影響を与えることがわかっています。
まとめ
腸内環境の悪化により引き起こされるリーキーガット症候群。
これにより、有害な物質が腸壁のを通過し肝臓が直接毒素などに接触してしまう「代謝性内毒素血症」が引き起こされ、肝臓の炎症、さまざまな形態の肝疾患、さらには肝がんと密接に関連してきます。
リーキーガットを予防および治癒するためには、よりよい腸内微生物叢を構築する必要があります。
そのためには、食生活はもちろんのこと、糞便微生物叢移植などの治療法を採用することも進められてきています。
肝疾患は、飲酒による悪化が良く言われていますが、それだけではなく腸内環境も大いに関連するということを心にとめておきたいですね。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%82%9D%E8%87%93
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