自閉症と食べ物や食事の選択のおすすめ
現在68人に1人の子供が自閉症であることが報告されている米国では様々な自閉症に関連する報告書がまとめられています。
今回はその中でも子供の成長と今後にとって大切な食べ物や食事についての選択の大切さと、自閉症におすすめされる食べ物についての報告からヒントを学びます。
日本でも自閉症の子供の数は増えているという報告があるようですが、1990年代に1,000人以上に1人だった自閉症の子供の数は、近年の報告では68人に1人と報告されるまでに至ったアメリカでは、年を重ねる毎に自閉症についての報告を目にしたり、耳にする機会が増えてきているように感じます。
とりわけニューヨークやワシントンD.C.にも近いボストンについての報告では48人に1人の子供が自閉症であることが報告され、その原因や対策について様々な討論が行なわれています。
今回は自閉症と食べ物や食事についてARIという自閉症研究機関が約5年に一度の割合で公共に報告するレポートの中から、食べ物や食事についてまとめられた部分からヒントを考えたいと思います。
なぜ食べ物や食事か?:
食べ物や食事についてまずは学びたかった点の理由として、誰もが日々食べ物や食事についての選択をしていることに加え、選択いかんで結果が大きく左右されることからです。
自閉症の子供を持つ親子さんにおいては、特に食べ物や食事の選択は日々大変なご苦労をされていることと察します。
自閉症研究機関が公にレポートを公開する一つの目的は、知識を持つことで対処や予防につなげて欲しいという思いからかと思います。
食べ物や食事が健康を左右すると述べましたが、多くの報告では健康を左右する要因で一番大きい点が食べ物や食事で、健康を左右する割合として全体の35〜65%を占めるとも報じられています。
遺伝は8〜12%程度どもいわれますので、いかに日頃の食べ物や食事によって私たちの身体が影響を受けているかがわかります。
ただし、健康的な食べ物や食事というのは国民性だけではなく、地域や個々によっても変わるために一概に何が良いかとは言えなさそうです。
また人によっては良いとされていたとしても、他の人にとってはその食べ物に不耐性があったり、アレルギー反応を起こすことで体内の炎症の原因になったりすることもありますので、100%何が正しいかというのはわかりにくいといえます。
その点を踏まえて報告書を参考程度にしていただくと良いのではないでしょうか。
自閉症の子供にとっておすすめされる食べ物や食事:
自閉症研究機関であるものの、あくまでもアメリカの機関ですので、そのまま私たちに言えるかどうかは別ですが、下記のような食べ物や食事が自閉症の子供にはおすすめされています。
・毎日野菜に含まれる栄養素を3〜4程度食べる。
注意書きとして書かれている中には、トウモロコシは果物ではなく穀物に含まれていること。
そして、芋は栄養価としては限られていることも追記され、特に芋を揚げた食べ物には注意と記載されています。
彼らのいう芋というのは一般的なジャガイモのことを指しており、日本にはサツマイモなど他の芋類が存在し、区別する必要があると思います。
・果物は1〜2程度。
フツーツジュースは果物をそのままいただくものとは異なる食べ物や飲み物であるものの、炭酸飲料など他の飲み物よりは健康的と判断されています。
・一日に1〜2程度のたんぱく質を含む食べ物を食事で摂取する。
たんぱく質を含む食べ物の例として、牛や豚、鶏肉、卵、豆類、ナッツ類と書かれています。
もし子供のお腹が張ったり、下したりする場合は見直しが必要で、一度に食べる量を減らしたり、間隔をあけたりすることも必要。
・炭酸飲料やスナック菓子などのおやつを極端に減らして砂糖や人工甘味料、コーンシロップ、ブドウ糖などを含む食べ物を摂取しないように心がける。
多くのスナック類には砂糖の代わりに甘さを入れる成分が含まれる為に観るようにすることがおすすめ。
・ジャンクフードを避ける。
スナック菓子やファーストフード、揚げ物、炭酸飲料などカロリーが高く、栄養素が入っていない、あるいはトランス脂肪酸をはじめとする人工的な油を使用した食べ物を避けるようにする。
特に油について知っておきたいのは、脳や身体をつくる細胞膜は油を中心として構成されていることからも、身体に良くない油を避ける一方で、身体に良いオメガ3脂肪酸をはじめとする油を積極的に摂取することをおすすめしています。
食事で良質な脂質を補いきれない場合にはサプリメント等を補助的な栄養素として取り入れることがおすすめされています。
・人工的な添加物を避ける:
食べ物に添加される人工着色料、風味、ブドウ糖やコーンシロップなどの甘味料、ホルモン剤や遺伝子組み換え食品を含む食べ物を避けるように心がかける。
農薬と環境について行なわれた調査によると農薬を多く使用する農作物が育つ地域の近くに住む子供は自閉症を患うリスクが高くなると報じられています。
・良質な食べ物を選ぶ:
野菜や果物、あるいは他の食品においても、できれば新鮮なものや、可能な範囲で農薬などの使用が制限されている食べ物を選択するようにすることをおすすめしています。
・グルテンや乳製品などアレルギー反応を示す食べ物を避ける。
アレルギー反応を示す場合にはアレルギー成分を使用しない食べ物を選択することをおすすめしています。
自閉症研究機構が行なった調査では、砂糖を抜いた食事にしただけでも4,589人中の52%の子供において改善がみられたと報告されています。
子供にとっても食事をつくる親にとっても食べ物を選択することなく好きな食べ物だけを食べたくなることは一般的なことですが、子供にとっての長い人生を考えると頑張り時も存在します。
食べ物や食事の選択を重ねることで改善されたり、変化が表れた時には、更にモチベーションにもつながることからも、気になる点は試してみてはいかがでしょうか。
参考にした情報:
自閉症・リサーチ・インスティチュート
〜自閉症は治療可能〜
自閉症のための食事、栄養素、治療サマリー2013年版
ジェイムス・B・アダムス博士
Environ Health Perspect. 2012 Jul;120(7):944-51
Environ Health Perspect. 2007 Oct;115(10):1482-9
情報ページ:EPAとは?