トランス脂肪酸を減らして良い脂質を増やしたい理由
人工的な油で安価なトランス脂肪酸は日本では消費量が少ないとの理由から規制はされていませんが、アメリカではニューヨーク市を筆頭に90年代から規制対象とされてきました。
トランス脂肪酸は利便性も高く経済的な反面、体内での大きなデメリットも報告されている脂質で、本来はアメリカより量が少ないから大丈夫というものでもなく、脂質の重要性が益々増す中で、個人での見直しをおすすめする理由があります。
トランス脂肪酸使用禁止の裏:
ニューヨーク市では90年代に増え続ける医療費に対応すべく、ジュリアーニ市長はレストランでのカロリー表示や禁煙、トランス脂肪酸規制など気持ち良い程に、次々と一般市民の生活をより健康に近づけるために規制を打ち出しました。
トランス脂肪酸は大手ファーストフードチェーン店を展開する企業からすると安価で利便性が高く、食感が良い上に長持ちもするなどの利点が多いことからも当初はなかなか受け入れられないのでは?という意見が優勢でしたが、結果的に規制が議会で通過してからは、トランス脂肪酸の規制は他の地域へと波及していきました。
その流れを汲み、日本の議会でも話題にはなったものの結局のところ、日本ではアメリカと比較した際にトランス脂肪酸の摂取量が少ないという理由で現在も野放し状態が続いており、米国からの大手外食チェーン店では自国で使用しないトランス脂肪酸を日本では使用するという奇妙な現象が続いています。
トランス脂肪酸の何が問題か:
人工的な油で本来は工業用として使用されるべきいわばプラスチックのような油は、人間が歩んできた今までの長い歴史の中で、自然界には存在してこなかった言ってみれば身体にとっては異物や有毒物として認識される存在です。
実際に今までの報告でも疾病になる確率を大きく押し上げることが伝えられてきましたし、何よりも私たちが日々選択や決断をはじめとする考えることを司る脳は70%が油でできているとも言われることや、トランス脂肪酸は炎症の原因になり、さまざまな病気との関連性を持つことを考えると、その影響だけでも計り知れないことがわかります。
有害成分が排出されるまでにかかる期間と臓器への負担:
私たちの身体は自然界の食べ物を食べるように創造されたことからも、トランス脂肪酸のような異物は身体から排出されるまでに臓器を働かせ、1回摂取しただけでも全て排出されるまでに驚く程に日数が必要であることがアメリカではよく下記のように伝えられてきました。
・全てが排出されるまでにかかる日数:240日
・半分が排出されるまでにかかる日数:120日
それまでの間、長い日数をかけて臓器は異物への対応が必要になってくるわけですが、一回だけにとどまらずに摂取が続けば臓器への疾患の影響も出てくることは容易に想像できます。
臓器も代謝して細胞は入れ替わっていますが、脂肪が大半を占める脳の神経細胞については約7年かかるともいわれていますので、脳は他に注ぐチカラを弱めるしかなくなるということになります。
臓器の代謝は下記の日数が伝えられています。
・腸内:3〜21日
・皮膚や心臓:約1ヶ月
・筋肉や肝臓:約2ヶ月
・赤血球:数ヶ月
・脳の神経細胞:約7年
私たちの健康や病気を左右する一番大きな要因は食べ物で、また過去に食べたもので身体ができていることは周知のとおりです。
健康を左右する割合として食べ物は全体の35〜65%ともいわれており、遺伝は8〜13%程度と見積もられていることからも遺伝で病気になる確率が低いことがわかります。
まずはトランス脂肪酸を含むようなマーガリン、ファーストフードや外食スイーツなどについて見直すことは、体内にトランス脂肪酸を入れにくい環境につながります。
魚に含まれるフィッシュオイルのDHAやEPA、亜麻仁油、エゴマ油、ごま油、ボラージオイル、オレガノオイル、月見草、オリーブオイル(オリーブ葉オイル)、ココナッツオイル、良質なバター、ギー、シソ油、MTCオイル、チアシード、ヘンプシードなどの脂質を増やすことがおすすめといえます。
更に身体の循環を良くするお水、野菜や果物などの摂取を増やすことも予防につながるといえます。
参考にした情報:
エボリューション・オブ・メディスン・サミット(米国開催) 2016年1月20日
トム・オブライアン医学博士
アイザック・ジョンズ博士