ビフィズス菌
ビフィズス菌は、1899年に健康な母乳栄養児の排泄物から発見されました。
フランスのパスツール研究所のティシエは母乳栄養児の健康について研究しており、母乳で育った乳児とミルクなど人工栄養で育った乳児の便を比較して、含まれている菌の違いに気づいたのです。
こうして発見された菌は、V字やY字に枝分かれした形態から、ラテン語で「二又」を意味するビフィドゥスと名づけられました。
1924年には、ビフィドゥスという呼び名に、細菌を意味する「バクテリウム」を合成し、ビフィドバクテリウム属という分類がつくられ、1974年には、ビフィドバクテリウム属に属する細菌としてビフィズス菌が分類されるようになりました。
ビフィズス菌と乳酸菌はどちらもヨーグルトなどの乳製品に使われていて、おなじみの腸内細菌となってきています。
どちらも同じ菌だと思われがちですが、実際は菌の分類も性質も異なります。その違いはどこにあるのでしょうか。
ビフィズス菌は、私たち人間や動物の腸内に最も多く生息している、からだに有益な菌です。人間の腸内には、1兆~10兆ものビフィズス菌が存在するといわれています。
乳酸菌の生息数は、その1/10000~1/100以下にすぎません。
乳酸菌は体内のあちこちに存在しているのに対して、ビフィズス菌は大腸にのみ存在しています。
また、乳酸菌は酸素があっても生きていけますが、ビフィズス菌は酸素があると生きられません。
そして、乳酸菌が糖を分解して作り出すのは主に乳酸だけですが、ビフィズス菌は、乳酸にのほかに酢酸も作り出すことができます。
また、ビタミンB群、葉酸も作り出しています。
私たちの小腸には酸素が存在していますが、大腸には酸素が存在しません。
そのため、ビフィズス菌にとって大腸だけが唯一生息できる場所となっています。
ビフィズス菌は、フランスの研究所に勤めていたティシエにより母乳栄養児の排泄物から発見されました。
母乳で育った乳児は人工栄養児より病気にかかりにくいことが知られていました。
その理由が研究され、母乳栄養児の便には人工栄養児の便にはいない細菌がいることが発見されたのです。
ビフィズス菌は私たち人間の腸内フローラを形成している細菌のひとつです。
そして、母乳栄養児の腸内フローラの約90%は、このビフィズス菌によって埋め尽くされているのです。
ビフィズス菌は、糖を分解することによって乳酸のほかに強い殺菌力を持つ酢酸を作り出します。
これによって悪性の大腸菌や腸内細菌の増殖を防ぐだけでなく、感染症にかかる確率などを低くする効果が認められています。