妊婦と水銀や重金属と食べ物
以前何かのメディアで日本人は欧米人に比べて体内の鉛や水銀などの重金属量が2倍前後高いと伝えていた記憶が残っています。
日本国内でも関東在住ではマグロなどの赤身を好み、以西では白身を好む為に関東周辺地域に住む人の方が体内の重金属量は多く、マグロではトロよりも脂身が少ないマグロの方がなぜか水銀が多い為に、マグロを食べる人の方が水銀量が多い可能性があると以前に日本健康促進機構NPOイーマが主催する健康と医療のセミナーで先生から伺ったことがあります(ちなみに陸の肉類では脂身の部分に重金属は溜まりやすいのだそうです)。
海外では日本人の頭の良さは伝統的な和食に含まれる栄養素に起源し、刺身や寿司をはじめとする魚類に含むDHAやEPAなどのオメガ酸やワカメや昆布などの魚介類に含まれるミネラルやポリフェノール等の栄養素の影響も大きいと考えられる説もあります。
海外の妊婦や授乳中の女性:
魚介類に含まれる水銀や鉛等の重金属が健康に与える影響は欧米では一般的には日本以上に敏感な人も多いように思います。
とりわけ妊娠を予定するカップル、妊婦、授乳中の女性には特に気を遣い、その期間中は魚を食べる回数を減らす女性も少なからず存在するところでもあります。
アメリカでは和食は一過性のブームから今や定着して根付き、お寿司はやはりその中でも群を抜いた人気の高さを誇っています。
同時に婦人科にかかる女性やカップルの中には心配な点が魚に含まれる水銀や鉛などの重金属です。
婦人科にかかる妊娠予定のカップルや妊婦、授乳中の女性は一週間のうちに魚の摂取を一回程度にすることをおすすめされることもあります。
とはいえ、魚には身体に良いとされるオメガ酸でもDHAやEPAに代表栄養素のオメガ3脂肪酸が豊富に含まれており、気に掛ける人には水銀除去済のDHAやEPAが推奨される程です。
魚の水銀や重金属:
近年アメリカでは寿司で使用される魚毎に水銀や鉛の重金属含有量が記載されたリストを妊婦や授乳中、妊娠を計画する女性やカップルが手にしていることがあります。
私もいくつか別のリストを見たことがありますし、実際にリストを手にしながら日本の寿司屋さんで食べておられる観光客らしき方々に遭遇したこともあります。
気になる方はNatural Resources Defence Councilという組織が公表しているリストの中から、お寿司の代表的なネタと水銀量が記載されたものです。
妊婦の寿司と水銀:
■妊婦、妊娠を計画中の女性や家族には摂取制限を推奨するネタ:
アヒ、アジ、ブリ、ハマチ、イナダ、カンパチ、カツオ、カジキ、マグロ、サバ、サワラ、スズキ、トロ
■水銀が低量と判断されたネタ:
赤貝、アナゴ、アオヤギ、アワビ、アユ、エビ、ハマグリ、ハモ、ハタハタ、ヒモ、ホッカイガイ、ホタテガイ、イカ、イクラ、貝柱、カニ、カレイ、コハダ、マサゴ、マス、ミルガイ、サケ、サユリ、シャコ、タイ、タイラガイ、タコ、トビッコ、トリガイ、ツブガイ、ウナギ、ウニ等
魚は私たちの国民食の1つでもあり、食事から無くすわけにはいきません。
最近の報告の中には、妊娠中の妊婦や授乳中の女性の体内にオメガ3脂肪酸が少なすぎる場合、胎児や授乳される子供を通して母体の脳にあるオメガ酸を活用するという内容もあります。
他にも魚やオメガ酸などの栄養素がとても良い働きが確認されている報告が多数ありますので、今後ご紹介していきます。
この記事は2014/08/11付けの更新版です。
参考ソース:
Natural Resources Defence Council(www.nrdc.org)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29127477
Burge GC, et al. Reprod Nutrition Dev. 45:581-597, 2005年
Levant B, et alBiol Psychiatry, 60:987-990, 2006年