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フィッシュオイルと年齢関連の記憶力

2015年04月13日

清水

 

年齢と共に記憶力は一般的に低下するものですが、近年は日本でも認知症やアルツハイマー病といった脳と関わりがある疾病が増え、メディアでも良く取り上げられています。

アメリカの報告ではアメリカ国内にアルツハイマー病の数が現在は500万人いるものの、2050年には高齢化で1300万人に増えるとの予想が報じられています。

そのようなことがあってか、近年は年齢と関係する記憶や脳などに関しての調査や研究を目にする機会も増えているように思います。

近年のオメガ3脂肪酸についての報告の中から、いくつかご紹介します。

 

平均年齢65歳で所得が平均を下回り、かつ認知や記憶に穏やかな段階の問題ありと診断された36名をランダムに選出されたアメリカの報告です。

その調査では被験者を2つのグループに分け、1つのグループでは1日3グラムのオメガ酸に属するフィッシュオイルDHAを43%含有)を毎日12ヶ月にわたり摂取し、もう1つの被験者グループはトウモロコシ油でできた偽粒であるプラセボ粒を同様に1年間にわたり摂取するダブルブラインドと呼ばれる調査方法が採用されました。

 

12ヶ月が経過した際に、偽粒に比べて1日に3グラムのフィッシュオイルを毎日摂取したグループは、短時間の検査で働いている記憶(P<0.0001)で認知と記憶力共に大きな改善が観られ、また短時間の言葉の記憶(P<0.05)や後の記憶能力(P<0.05)のいずれにおいても著しい快復が診断されたことからフィッシュオイルの働きの影響ともいえると研究者らは脳に関する専門誌において報告しています。

 

今回の調査報告のように多くの研究では比較的高い年齢層が被験者として抽出されており、胎児や幼児の子供の脳の発育や役割としても一般的に報じられてるDHAやEPAを含んでいるフィッシュオイルですが、専門家の中では実際のところは年齢関連の認知や記憶能力の低下に関してのDHAやEPAのフィッシュオイルがもたらす効果についての調査報告はまだ多いとは言えないとも言われます。

 

ただし、今回の研究で使用されたフィッシュオイルには43%のDHAが含まれていることが調査結果にどのように影響を与えたのかは定かではありません。

 

またフィッシュオイルという大きなくくりの中でも、今回の調査報告のようにDHAが43%含まれているサプリメントは一般的に少なく、売られている多くのフィッシュオイルの分類に入るサプリメントには12%程度のDHA配合にとどまり、日本ではそれ以外の成分も多くの割合を占めることが多いために今回の年齢関連の認知や記憶力と同じような結果が出るのは難しいことも想定されます。

 

今回は被験者が毎日3グラムのフィッシュオイルの中の半分近くがDHAでしたが、仮に市販されている多くのサプリメントのように12%程度のDHA含有量で同じような調査をしようとすると同じ結果に導くためには3グラムではなく、10グラム必要とされることになる可能性も否定できません。

 

その前に行われたDHAのサプリメントを用いた調査報告では一日に900mgのDHAで成人の学習と記憶力でも年齢関連の認知力の低下を改善したデータが報告された例もあり、その場合は日々のDHAやEPAを含有するサプリメントと同様の摂取量とも言えるために、今後は一般的に日々のフィッシュオイルで補える摂取量での調査報告が期待されるところではないでしょうか。

 

 

情報源:

Lee LK et al. Docosahexaenoic acid-concentrated fish oil supplementation in subject with mild cognitive impairment(MCI): a 12-month randomized, double-blind, placebo-controlled trial.

Psychopharmacology. 2013;225:605-612.

Townsend Letter. Oct, 2014:31-32

 

 

 

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