子宮内膜症の栄養素にN−アセチルシステイン
卵巣子宮内膜症を患う女性は日本でも多く、妊娠や不妊治療の期間中の薬剤投与を避けるために欧米では栄養素を利用する女性も多いために研究も進んでいるように思います。
その背景には、特に日本のように国民皆保険を持ち備えていない国々では医療費が高いことや、民間健康保険自体も高いために加入に踏み切れない人たちの多さもあるようです。
今回報告された調査はイタリアの女性が被験者となっているものの、発表はアメリカで行われたものです。
卵巣子宮内膜症と診断された人の中で、超音波を利用して最低30mm以上の大きさの子宮内膜で、不妊症と診断された92人のイタリア人女性を対象に行われ、NAC(N−アセチルシステイン)の栄養素を摂取するグループと同栄養素の摂取をしなかったグループに分け、もう一度3ヶ月後に子宮内膜症の嚢胞の大きさの変化についてを調べるために腹腔鏡検査を執り行う予定で進めた調査です。
N−アセチルシステインを摂取した子宮内膜症の女性は47名で、3ヶ月間の調査期間中には毎週3日間連続でNAC(N−アセチルシステイン)の栄養素を各600mgを1日3回摂取してもらいました。
他方のグループの被験者の数は同じく30mm以上の大きさの嚢胞を持つ子宮内膜症での45人の女性でN−アセチルシステインを摂取しないグループです。
3ヶ月後の腹腔鏡検査の段階で、NAC(N−アセチルシステイン)の栄養素を摂取してきた女性の嚢胞の大きさが、平均して1.5mm小さくなったのに対して、同栄養素を摂取しなかったグループは平均して6.6mm大きくなっていたと報告されました。
またNAC(N−アセチルシステイン)の栄養素を摂取したグループの中においても、次のような理由から検査を延期あるいはとりあえず様子を観るためのキャンセルとなりました。
・24名は嚢胞のサイズが小さくなったため。
・4名は嚢胞が消えたと確認されたため。
・21名が痛みが減ったため。
なお、他方のN−アセチルシステインを摂取しないグループは1人の手術キャンセルが確認されたとのことです。
備考として、N−アセチルシステインを摂取したグループの中でも8名が妊娠し、しない方でも6名の妊娠が確認されたとのこと。
研究者らによると、これらの結果はホルモン治療と比較した場合よりも改善度が高かったと報告すると共に、大きな結果が出たことからもN−アセチルシステインが容認されたと結論付けています。
今回のN−アセチルシステインの栄養素と子宮内膜症の調査について、他の医師は、卵巣子宮内膜症は子宮内膜症が原因の嚢胞で不妊とも関連があり、N−アセチルシステインを用いたネズミ実験でも子宮内膜のサイズを小さくしたことが確認されており、今回の実験はN−アセチルシステインが女性の子宮内膜症患者への受益となることが判明したと判断できるものの、そのメカニズムがわかっていないことからも、今後は関連性に期待がかかると伝えられています。
Porpora MG et al. A promise in the treatment of endometriosis: an observational cohort study on ovarian endometrioma reduction by N-acetylcystein.
Evid Vased Complement Alternat Med. 2013;2013:240702
Townsend Letter. 2014:33