亜麻仁種子リグナン繊維粉末と高血圧
日本でも近年人気が高まってきている植物性のオメガ3脂肪酸であるフラックスシードオイル(亜麻仁油)。
以前は身体に良い油のオメガ3脂肪酸と言えば動物性で、魚から抽出されるDHAやEPAのフィッシュオイルくらいしか思い浮かばなかったのが、近年の亜麻仁油の人気の高まりによって身体に良い油を意識的に摂取する人も増えているのではないでしょうか。
亜麻仁油はオイルを抽出した部分のことですが、亜麻仁の種子から抽出する食物繊維に分類されるリグナン繊維もこれから日本でも人気が高まってくるのではないでしょうか。
種子部分の効用
野菜や果物、植物では種子部分に健康に良いといわれる働きを持つものが存在します。
良く知られるのはぶどうの種に含まれるポリフェノール含有栄養素のブドウ種子エキスで、高濃度の抗酸化物で知られるポリフェノールを豊富に含んでいます。
GSEで知られるグレープフルーツシードエキスは、グレープフルーツの種子部分の抽出物で抗菌や除菌、殺菌作用があるために海外では昔から重宝されていますが、日本では日用品メーカーの多くが市場にそれらの商品をたくさん出しているために既に飽和状態のような感じですので、なかなか自然抽出物で殺菌や除菌、抗菌を考える人はまだまだ少ないのかもしれません。
今回はそれらの中から亜麻仁種子部分を抽出して粉末にしたリグナンと高血圧についての調査報告をご紹介します。
亜麻仁種子リグナン粉末と血圧調査
平均年齢67歳の110名の心臓周辺疾患患者(そのうち75%の人びとが高血圧)をランダムに選出したダブルブラインド調査が行われました。
1つのグループには亜麻仁種子リグナン粉末が30グラム含んだ食品を毎日食べ、他方のグループには見せかけだけで亜麻仁種子リグナン粉末を含まないプラセボ(偽)食品を毎日食べたもので、6か月間毎日食べた後の血圧の変化を報告したものです。
6ヶ月後に亜麻仁種子リグナン粉末を毎日食べていたグループの方はシストリック血圧が9.4mmHg低くなり、他方のプラセボに関してはほとんど変化がないといえる0.05mmHg低くなった程度だったとのこと。
中央拡張期血圧に関しても亜麻仁種子リグナン粉末を毎日30グラム食べたグループの平均は6.7mmHg低くなり、プラセボグループではほんんど変化がないといえる0.04mmHg低くなった程度にとどまったとのことでした。
亜麻仁種子リグナン粉末を食べたグループの方が、行われた調査では高血圧が改善されたと報告しています。
また、亜麻仁種子リグナン粉末が持つ血圧低減効果としては、血圧が低い患者よりも、血圧が140mmHg以上の方が有意、あるいは効果的だったと伝えられていますが、体重については期間中には両グループに大きな変化が見られなかったとのことでした。
今回の研究報告は亜麻仁種子リグナン粉末が高血圧を改善した、あるいは血圧を下げることができることを示した最初の報告である可能性もあるとのこと。
以前の研究では亜麻仁油(フラックスシードオイル)を用いたもののリグナン粉末は含まれておらず、その時の報告では高血圧に大きな改善はなく、血圧低減効果を観測できなかったことが示されています。
そのために亜麻仁種子リグナン粉末はオイルとは異なる働きを持ち、亜麻仁の種子部分にリグナンを多く含有することが関係していると判断され、リグナンが血圧低減効果に寄与した可能性を指摘しています。
同研究報告以外にもゴマの種子に含むリグナンでもネズミを用いた治験で高血圧への発展を予防することの報告がなされているようです。
日本でも食事の変化やストレスをはじめとする住環境によって、高血圧と診断される人の数は増えていることが指摘されています。
そのために亜麻仁種子に含まれるリグナン繊維のような食物繊維のような成分が今後は脚光を浴びる機会が出てくる可能性があるといえます。
Rodrignez-Leyva D et al. Potent antihypertensive action of dietary flaxseed in hypertensive patients.
Hypertention. 2013;6:1081-1089.
Alan R. Gaby M.D. Townsend Letter May 2014:32