ビタミンCと抗鬱の予防
感情と環境:
気分や感情の変化の大きさや浮き沈みの差が大きい人が多いために薬で解決しようと摂取する人の数は日本でも多いものの、同じようにそれらの薬が常に売れ筋となっているアメリカでは研究報告も多く存在するようです。
広く知られる事例の1つとして、欧米で冬が厳しく寒い地域では太陽に当たる時間も少ないことや、ウィルス性の感染も増えることなどの理由からも予防対策としてビタミンDを摂取する人が多くいます。
1992年に行われた第1回の地球環境サミットで世界的に土壌内のミネラルが100年前と比較しておおむね60%以上減っていることから、私たちが食べる食事でも同様に減ることで栄養素が不足しやすい環境にあることも気分や感情が変化しやすい、あるいは鬱状態になりやすい理由の1つとして考えられるようになったともいわれています。
近年では食事や生活環境の変化などの影響もあり、成人だけに関わらず、子供においてもうつ状態になることが多いことを受け、子供についての研究も増えています。
今回の研究は子供に焦点が当てられた報告であるものの、大人にも同じことがいえるような事例がありましたのでご紹介したいと思います。
ビタミンCとうつ:
ビタミンCの栄養素とうつについての研究報告がありましたので、下記にご紹介いたします。
平均年齢10歳の鬱障害と診断された24人の子供を対象に3つのグループに分けて6ヶ月間にわたり行われた調査です。
1つのグループでは年齢によって10〜20mgの経口抗鬱薬でフルオキセチンを毎日摂取、2つ目はビタミンCを1日2回、各500mg摂取で一日合計1000mg摂取、3つ目は偽粒のプラセボ粒を摂取したグループで6ヶ月後にそれぞれの子供に対して再度うつ症状についての診断がなされました。
診断は専門家によって行われ、子供のうつ度合い計測(p<0.0001)とうつ度人物調査(p<0.0001)の両方で薬とビタミンCの2つのグループにおいては大きな改善が示され、改善はプラセボ粒よりもビタミンCが大きかったと報告されています。
ビタミンの中のビタミンCの働き:
今回行われた調査報告では子供のうつ度度合い計測においては偽粒よりもビタミンCの方が60%低く、良くなったと診断されています。
また、子供のうつ度人物調査においてもビタミンCが42%低く抑えられていたとのことでした。
研究者らは今回の調査について、ビタミンCが脳内ホルモンのセロトニンとノルエピネフリンの役割をしていると共に、ビタミンCが持つ酸化剤の阻止の働きとしても効果的だったことを挙げ、共にうつに有益であることが期待できると伝えています。
今回の調査ではビタミンCの補助摂取は子供の主なうつ障害に対しての可能性が示唆され、うつはビタミンCの欠乏による現象の1つであることが知られるために、ビタミンCを補うことで何らかが償われたか、またはビタミンCが薬の働きのような効果をした可能性が考えられると結ばれています。
一般的なビタミンC:
ビタミンCは一般的に水に溶ける水溶性で、熱に弱く、数時間で身体から排出されることで知られることから、毎日の食事で下記のようなビタミンCを多く含む食材から補うことが理想といえます。
野菜としてはピーマンや芽キャベツ、ブロッコリーやカリフラワー、ゴーヤ、ほうれん草などにビタミンCが比較的多く含まれています。
果物ではレモン、キウィ、柿、いちごを始めとする果物にビタミンCが豊富に含まれています。
ビタミンCは免疫力を高めたり、丈夫な皮膚にするコラーゲンの合成に使われ、抗うつの予防以外にも幅広い働きを持つ栄養素で知られます。
参考文献:
Amr M et. al.. Efficacy of vitamin C as an adjunct to fluoxetine therapy in pediatric major depressive disorder: a randomized, double-blind, placebo-controlled pilot study. Nutr. J. 2013;12:31